ドイツ自動車大手BMWグループのオリバー・ツィプセ取締役会長。(ベルリン=新華社配信)
【新華社ベルリン1月15日】ドイツ自動車大手BMWグループのオリバー・ツィプセ取締役会長はこのほど、新華社のインタビューに応じ、BMWが中国市場に根を下ろしてから30年、今や中国は同社にとって最大の市場であるだけでなく、ドイツ本社以外で最大の研究開発センターと生産拠点でもあり、同社にとって「極めて重要だ」と強調した。
2024年はBMWの中国市場進出30周年にあたる。ツィプセ氏によると、現在は中国で約2万8千人の従業員を抱え、500社近くの現地サプライヤーと緊密なパートナーシップを結んでいるほか、長期的な成長に備えて大量の投資を続けており、中国経済とともに発展することに期待を寄せているという。
「中国はBMWの第2の家だ」。ツィプセ氏はこう述べ、直近30年を振り返ってみると、BMWは中国市場に対する理解を深め、研究開発・生産を現地化することで中国の消費者のニーズに合った製品を発売してきたとし、「これは中国市場の高い期待に応える方法であり、ここで成功するための重要なコツでもある」と明かした。
中国はすでに世界の技術・イノベーションの中心地になっているとし、「世界の未来の発展すう勢を予見するには、中国で今起きている変化に注目しなければならない」と指摘。このため、BMWは中国にドイツ以外で最大となる研究開発センターを設立し、北京、上海、瀋陽、南京の4都市に自動車研究開発、デジタルサービス、ソフトウエアシステム、自動運転など重要技術分野をカバーするイノベーション拠点を構えていると明かした。
瀋陽市の大東工場で完成した電気自動車BMWi5。(ベルリン=新華社配信)
BMWは24年4月、中国で200億元(1元=約21円)の追加投資を行い、瀋陽生産拠点の大規模な高度化と技術イノベーションに充てると発表した。ツィプセ氏はこれについて、中国での投資拡大は中国市場を長期的に深耕することへの決意と、中国の経済発展の先行きに対する自信を示すと説明した。
ツィプセ氏はまた、直近30年間で中国は世界で最も競争力のある市場の一つに成長したとの見解も示した。中国市場では多くの電気自動車(EV)メーカーが活発に発展しており、BMWは今後、中国での新エネルギー車(NEV)の発展をさらに推進していくとし、「中国での次の30年に向けて努力する」と述べた。
その上で、「私は中国の自動車産業の電動化プロセスを非常に楽しんでいる。現実に即し、実際の効果を重視しており、教条主義にとらわれていない」と評価した。中国の新エネ車戦略はEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)など多様な技術を網羅しており、こうした柔軟で実務的なやり方は、電動化の市場受容を促す上で最も有望で効果的な手法だとの見解も示した。
ツィプセ氏によると、24年1~9月はBMWの純電気自動車(BEV)の中国販売台数が前年同期比10%近く増加し、累計販売台数も40万台という節目に達した。間もなく発売する次世代EVモデルは、26年から中国での生産開始を予定している。
自動車分野の中国と欧州間の協力については、互恵的でウィンウィンな関係がどのレベルでも極めて重要だとの認識を示した。気候変動などの課題をめぐる国や地域をまたぐ協力は大きな潜在力を秘めており、BMWと中国パートナーとの協力はその良い例だとした。同社は中国車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)などと協力してEV用電池の研究開発を行っているほか、清華大学などの大学と共同で人工知能(AI)や全固体電池などの最先端技術も研究しており、今後はより多くの分野で将来性に富む協力を実現することを望んでいると述べた。