【新華社北京1月9日】中国北京市の中国地質大学(北京)と甘粛省の甘粛農業大学、甘粛省博物館からなる研究チームは6日、同省靖遠県烏蘭鎮で発見した1億年以上前の恐竜の足跡を白亜紀の「斯氏蹺脚竜」のものと確認したと発表した。斯氏蹺脚竜が中国に広く分布したことを示す新たな科学的証拠であり、研究成果は古生物学の国際学術誌「ヒストリカルバイオロジー」電子版に掲載された。
足跡化石は保存状態が良く、行跡(連続した足跡)が12本あり、恐竜の足跡の中では比較的珍しい。中国地質大学(北京)の邢立達(けい・りったつ)副教授は「足跡化石からは恐竜の足の裏のうろこの痕跡まで確認でき、細部まできれいに保存されているといえる」と紹介。足跡を残した恐竜は臀部(でんぶ)の高さが約0・6~0・9メートル、体長は最大2・5メートルに達し、ほぼまっすぐに歩行していたと推測されると語った。
甘粛省靖遠県烏蘭鎮に足跡を残した恐竜の復元図。(資料写真、靖遠=新華社配信)
中国西北地区の「河口岩群」と呼ばれる白亜紀の岩石層は、四足動物の足跡が多い多様性に富む地層とされ、恐竜の足跡も大量に残されている。烏蘭鎮の足跡は断崖の岩石層の底部、約6・2平方メートルの範囲に点在しており、いずれも三本指の恐竜で少なくとも67個あり、長さは11~21ミリ。研究者によると、形態的特徴が斯氏蹺脚竜の足跡と一致する。
12本の行跡の足跡は、いずれも同程度の大きさで、一部は並行し、同じ方向へ進んでいた。3Dデータによる復元シミュレーションでは、同様の体型の獣脚類恐竜が歩行速度で密集して前進していたことがわかった。
甘粛省靖遠県烏蘭鎮で見つかった恐竜の足跡。(資料写真、靖遠=新華社配信)
甘粛農業大学の李大慶(り・だいけい)教授は「恐竜は群れで行動していた可能性がある」と指摘。互いに近寄ることで単独時より警戒力を高め、天敵に捕食されるのを防いでいたのだろうとの見方を示した。
邢氏は、今回の発見で斯氏蹺脚竜の足跡形態と行動を解明する新たな手がかりが得られたと表明。烏蘭鎮は白亜紀河口岩群の中でも足跡化石の多いエリアの一つになったと語った。(記者/魏夢佳)