山東新能船業の埠頭(ふとう)で艤装作業中の純電動多目的輸送船。(2024年12月11日撮影、済南=新華社記者/蕭海川)
【新華社済南1月6日】中国山東省済寧市では現在、内陸水路用新エネルギー船舶製造モデル拠点の建設が進んでいる。
同市の微山湖に流れ込む白馬河から薄い霧が立ち上る中で、地元造船会社、山東新能船業の責任者の徐穎(じょ・えい)氏は、数隻の黒色に塗装された運搬船を指して「川の向こう側、南岸に停泊するのは従来の重油燃料を使う運搬船」と話した。徐氏の傍らには、青色に塗装された新造船6隻が係留され、艤装作業が行われていた。間もなく引き渡される6隻は、いずれも液化天然ガスまたはエネルギー貯蔵電池によって駆動する次世代運搬船となる。
そのうち、全長67・6メートルの純電動多目的輸送船は、最大で標準コンテナ62個またはばら積み貨物約2千トンを積載可能で、設計速度は時速12キロ、航続距離は約136キロで、特に域内の短距離水路輸送に適している。
純電動多目的輸送船の操舵室の一角。(2024年12月11日撮影、済南=新華社記者/蕭海川)
徐氏は「クリーンエネルギーを動力とする主力船型4種類を独自開発し、ばら積みコンテナ兼用を実現した」と述べ、ディーゼルエンジン搭載の在来船と比較し、新造船は汚染物質排出量を90%、二酸化炭素(CO2)排出量を20%以上削減したと説明。主力船型4種類はすでに量産体制に入っており、いずれも船級に関する検査・登録を行う専門組織、中国船級社(CCS)の認証を取得し、内陸水路のさまざまな用途に対応できるという。
省エネ、環境保護、安全、効率的であることが、現代の造船業界の大きなトレンドとなっている。同市の内陸水路では現在、さまざまな種類の輸送船7400隻余りが航行する。従来の重油燃料船は、「小型、旧式、汚染」などの問題を抱え、早急な更新、改良が求められている。
山東新能船業の共同工場で生産資材を運搬する無人搬送車(AGV)。(2024年12月11日撮影、済南=新華社記者/蕭海川)
同社が責任を負う済寧新エネルギー船舶製造プロジェクトは、石炭発電や物流などを手がける済寧能源発展集団が武漢理工大学、造船大手の中国船舶集団(CSSC)、コンテナ製造大手の中国国際海運集装箱集団(CIMC)、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)などと共同で推進。国内の研究開発、設計、スマート製造を一体化した内陸水路用新エネルギー船舶製造モデル拠点構築を目指す。
プロジェクトは、昨年8月に完成し稼働開始。同省重大建設プロジェクトリスト、同省工業グリーン(環境配慮型)低炭素転換重点プロジェクトに選定された。
同市発展改革委員会によると、内陸水運業、造船業をけん引役とする同市の企業19社が省級グリーン工場に選定されている。(記者/蕭海川)
船台上で建設中の数隻のクリーンエネルギー輸送船。(2024年12月11日撮影、済南=新華社記者/蕭海川)