漢代海昏侯墓で複合材質の魚鱗甲を確認 甲片は最小幅1センチ

漢代海昏侯墓で複合材質の魚鱗甲を確認 甲片は最小幅1センチ

新華社 | 2024-12-09 09:31:20

海昏侯劉賀墓出土の甲冑甲片(部分)。(南昌=新華社配信)

   【新華社南昌12月9日】中国江西省文物考古研究院は7日、同省南昌市にある前漢時代の諸侯墓、海昏侯劉賀(りゅう・が)墓から出土した甲冑(かっちゅう)の甲片の暫定的な整理が完了したと発表した。研究者が甲片約6千枚を復元した結果、漆塗りの鉄と銅、皮を組み合わせた魚鱗甲(うろこ状の甲冑)の一部だと分かった。専門家によると、複数の材質からなる漢代の甲冑が見つかるのは初めてで、当時の甲冑製造技術の最高水準を示しているという。

   海昏侯墓発掘チームのリーダーを務める同研究院の楊軍(よう・ぐん)研究員によると、甲片は劉賀墓の西側の蔵椁(ぞうかく、収蔵庫)の武器庫から刀剣と共に出土。残された漆皮(しっぴ)の痕跡から、甲片は漆箱に収められていたと推測されるが、出土時に漆箱は既に腐朽し、甲冑や刀剣は堆積した状態で発見された。楊氏は「海昏侯墓は地震や鄱陽湖(はようこ)の水域拡大による地下水位の上昇などを経ており、甲片は脆弱(ぜいじゃく)な状態だった」と説明。周囲の土ごと研究室に持ち帰り、発掘と研究を進める方法を取ったという。

海昏侯劉賀墓で出土し、周囲の土ごと研究室に移された甲冑甲片の堆積物。(南昌=新華社配信)

   発掘作業には中国社会科学院考古研究所や科技考古・文化遺産保護重点実験室、江西省文物考古研究院などの文化財保護専門家が参加。2年余りかけて甲片約6千枚を取り出した。

   甲冑修復に50年以上携わってきた中国社会科学院考古研究所の白栄金(はく・えいきん)研究員は「甲片は最小のものが幅1センチ、厚さ0・2センチほどで、漢代遺跡の考古学調査で出土した最も小さい魚鱗甲の甲片だ」と紹介。魚鱗甲は漢墓から多く出土しており、通常は幅4~10センチで、中山靖王・劉勝墓(河北省保定市)出土の鉄甲甲片でも2~3センチだとし、甲片が小さければ必要な枚数が増え、加工技術も精巧になると説明した。

研究室で取り出された海昏侯劉賀墓出土の甲冑甲片。(南昌=新華社配信)

   海昏侯の甲冑の甲片は材質や様式も特殊だった。白氏は、漢代の甲冑は一般的に単一の材質で作られているが、海昏侯の甲冑は鉄、銅、皮の三つの材質で構成されていると指摘。このような複合様式は漢代の考古学で初めてと述べた。

   専門家は、数千年の歴史を持つ甲冑は技術の進歩とともに絶えず改良が重ねられてきたとし、海昏侯の甲冑の発見は漢代の甲冑製造技術を研究する上で重要な実物資料になると語った。(記者/袁慧晶)

海昏侯劉賀墓で出土した甲冑甲片の堆積物を観察する中国社会科学院考古研究所の白栄金研究員(左端)。(南昌=新華社配信)

海昏侯劉賀墓で出土した甲冑の修復プランを検討する専門家。(南昌=新華社配信)

海昏侯劉賀墓出土の甲冑甲片にラベルを張る研究者。(南昌=新華社配信)

海昏侯劉賀墓で見つかった甲冑甲片と刀剣の出土の様子。(南昌=新華社配信)

海昏侯劉賀墓で出土した甲冑甲片のつづり合せ方を推測する研究者。(南昌=新華社配信)

海昏侯劉賀墓出土の甲冑甲片と研究者が再現したつづり合せ方。(南昌=新華社配信)

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