7日、第7回輸入博で展示された時的科技の電動垂直離着陸機。(上海=新華社記者/辛悦衛)
【新華社上海11月11日】低高度空域を飛ぶ有人・無人航空機を活用した経済活動「低空経済」を巡って国際競争が進む時代を迎え、中国上海市で5日から6日間開催された第7回中国国際輸入博覧会も新技術やトレンドが披露される場となった。会場では、国内外の出展企業がスマート待合室や実寸大の新型キャビン、フライトシミュレーターなどを展示し、来場者に移動の未来像を発信していた。
今回初出展した電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカー、時的科技(TCab Tech)は、自動車展示エリアの「未来の低空旅行」特設コーナーに「ターミナル」を設置。未来の便利な搭乗プロセスをシミュレートし、来場者が未来のeVTOLの効率的な搭乗を体験できるようにした。
同社の蔣俊(しょう・しゅん)共同創業者兼最高マーケティング責任者によると、今回展示したeVTOL「E20」は翼幅12メートル、設計航続距離200キロ、最高時速320キロで、パイロット1人と乗客4人が搭乗できる。
電動航空機の開発を手がける米アンペア(Ampaire)と中国の新興eVTOLメーカー御風未来(Vertaxi)が共同出展したブースでは、黒と白に塗装されたeVTOL「M1」の実機が初公開された。5人乗りで、1回の充電による航続距離は250キロ、最大積載量は700キロ。同機は今年1月に中国民用航空局から耐空証明を取得した。
同ブースでは現場体験イベントも行われ、来場者がひっきりなしに訪れていた。関係者によると、飛行速度が時速200キロの場合、M1の騒音は高速道路を疾走する車両よりやや大きい程度で、乗客はノイズキャンセリングヘッドフォンを着用する必要がないという。
eVTOLはヘリコプターのように垂直に離着陸できる航空機で、滑走路が不要なことに加え、二酸化炭素の排出量を削減でき、騒音も小さいという特長がある。eVTOLの登場により、標高千メートル以下の低空域における都市部の通勤、文化・観光、貨物輸送などに新たな可能性をもたらすことが期待される。
中国のeVTOLメーカー、上海沃蘭特航空技術(VOLANT)は今回、中国香港特別行政区の同業で提携パートナーでもあるエッセンス・バリューと共に初出展。旅客輸送、緊急救助、貨物輸送の3種類の設定に簡単に切り替えできるeVTOL「VE25-100」の実寸キャビンを展示した。快適な商用旅客輸送機能を備えるほか、2メートルの担架や航空貨物用コンテナを載せることもでき、低空観光、短距離輸送、都市部での移動、緊急救助、航空貨物輸送、個人旅行という六つの活用シーンに対応する。
VOLANTのパートナー兼上級副総裁の黄小飛(こう・しょうひ)氏によると、会期中の仮注文数は165機余り、受注額は35億元(1元=約21円)を上回った。これまでに戦略的協力協定を結び、仮注文があったのは860機余り、受注見込み総額は220億元に上り、本格的な商用化が加速している。
上海市経済・情報化委員会の張英(ちょう・えい)主任によると、同市の新興eVTOLメーカーは全国の約5割を占めている。低空経済産業の発展推進を加速するため、すでに関連の行動計画を打ち出しており、2027年までに中核産業の規模は500億元以上に上り、革新と発展を続ける世界の低空経済の最前線を行くことが期待される。(記者/龔雯、孫青)