中国で民族舞踊劇「紅楼夢」ヒット 古典を現代的に解釈

中国で民族舞踊劇「紅楼夢」ヒット 古典を現代的に解釈

新華社 | 2024-10-18 20:27:00

民族舞踊劇「紅楼夢」宣伝用スチール写真。(南京=新華社配信)

  【新華社北京10月1日】中国各地で人気を博し、海外公演も果たした民族舞踊劇「紅楼夢」の北京公演がこのほど、大盛況のうちに幕を閉じた。カーテンコールに出てきた出演者に向けた観客の拍手と歓声はいつまでも鳴りやまなかった。2021年の初演以来、中国34都市で270回余り公演を行い、観客約45万人を動員。今回の北京公演もチケットが発売と同時に完売する人気ぶりだった。

  江蘇大劇院と南京民族楽団が共同制作。中国舞踊界で活躍する「90後(1990年代生まれ)」の芸術家ら優秀な若手十数人が主な役柄を演じる。観客の中には、漢服姿で古典的なメイクをし、劇中の役になりきり没入型の体験を楽しむ若者も目立つ。チケットの入手は困難で公演のたびに争奪戦になるが、リピーターが多く、劇団とともに十以上の都市を回った人もいる。ネットに投稿された6千字の感想文も話題になった。

  9月13~15日には初の海外公演となるシンガポール公演を行い、観客7千人近くが華やかな演出と東洋の美の素晴らしさに酔った。公演終了時には、会場が拍手で包まれ、スタンディングオベーションが起きた。会場を訪れた中国の曹忠明(そう・ちゅうめい)駐シンガポール大使はあいさつの中で、舞踊劇「紅楼夢」は世界的に影響力のある文学作品を現代の視点から革新的に解釈し、時代の活力を作品に与えていると指摘。公演がシンガポールで開演前から大きな注目を集め、チケットも飛ぶように売れたことは、中国とシンガポールの文化交流の質の高い成果を如実に示しているとし、両国の人的・文化交流の絆をさらに深め、両国民の心をさらに近づけるものになると述べた。

ロシア・ウラジオストクで上演された舞踊詩劇「只此青緑」。(9月20日撮影、ウラジオストク=新華社配信)

  中国では舞踊劇がしばしば話題になり、注目を集めている。この夏も各地でオリジナル舞踊劇が上演され、若者を中心に関連消費が盛り上がった。近年ヒットした舞踊劇を振り返ると、多くが創作された地域の文化と深く結びつき、中国の優れた伝統文化を題材としていることがわかる。舞踊詩劇「只此青緑」は、北宋時代の名画「千里江山図」にインスパイアされ創作された。深圳歌劇舞劇院による「詠春」は、広東武術の師範を代表とする「中国の英雄」のイメージを形作った。「紅楼夢」は、六朝の古都であり悠久の歴史のある南京で生まれた。

  民族舞踊劇「紅楼夢」をプロデュースした江蘇大劇院の廖屹(りょう・ぎつ)総経理は、舞踊劇のヒットは中国の優れた伝統文化が新時代にはつらつとした生命力を放っている表れだと分析。創作チームは、中国の伝統文化に根ざしながら、それに縛られることなく、伝統文化の中で最も心を打つ精神文化の核を捉え、現代の個人の価値観を反映させ、革新的な表現を通して伝統文化の現代的な転換を実現し、時代の垣根を越えて中国の優れた伝統文化への共鳴を人々に呼び起こしていると述べた。(記者/沈氷潔)

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