【新華社北京5月9日】中国北京市の中国地質大学(北京)と福建省の英良石材自然史博物館を中心とする科学者チームは6日、福建省にある白亜紀後期の恐竜足跡化石群「竜翔恐竜足跡群」で見つかった大型のデイノニクス類の足跡が、これまで世界で確認されているデイノニクスの足跡の中で最大だと分かったと明らかにした。うち、五つの足跡は平均の長さ約36・4センチ、幅16・9センチで、研究者らは足跡化石の新属新種として「英良福建足跡」と命名。研究成果を国際学術誌アイサイエンスに発表した。
デイノニクスは、ジュラ紀後期から白亜紀に生息していた肉食または雑食の獣脚類恐竜で、体表が羽毛で覆われ、後足の第2指には「殺りく爪」と呼ばれる大きなかぎ爪があり、歩行時は地面に2本指型の足跡を残した。
福建省竜岩市の竜翔恐竜足跡群。(2020年11月10日撮影、北京=新華社配信)
竜翔恐竜足跡群は英良石材自然史博物館と中国地質大学(北京)の合同チームが2020年11月に竜岩市上杭県臨城鎮竜翔大道付近で発見。数年の調査で大型竜脚類や鳥脚類、獣脚類、2本指型デイノニクス類など少なくとも8種類の恐竜の足跡を確認した。うち、2本指型デイノニクス類の足跡は12個あり、2種類のデイノニクスのものと見られる。
竜翔恐竜足跡群で見つかった「英良福建足跡」。(2021年1月13日撮影、北京=新華社配信)
中国地質大学(北京)の邢立達(けい・りつたつ)副教授によると、2種類の異なるデイノニクスの足跡のうち、小さい足跡の平均の長さは約11センチで。6個ある大きい足跡の5個は一列に並び、保存状態が良く、足の指は細長かった。大きさは山東省で見つかったドロマエオサウルス(長さ28・5センチ)をはるかに超えていた。
邢氏は「世界でこれまでに発見された最大のデイノニクスの足跡だ」と述べ、これら大型の2本指型足跡は形態的にこれまでに確立されたデイノニクス類の足跡の属種の特徴に当てはまらないと指摘。足跡の大きさから体長は少なくとも5メートル、臀部(でんぶ)の高さは最大2メートル近くあり、南米のアウストロラプトルや北米のユタラプトルに匹敵するとの見方を示した。
英良石材自然史博物館の鈕科程(ちゅう・かてい)館長は「竜翔恐竜足跡群は中国で発見された白亜紀後期の恐竜足跡化石群の中で保存状態が最も良く、面積も最大で、多様性が最も高い」と説明。英良福建足跡の発見は、デイノニクスの足跡の寸法範囲を大きく広げたほか、アジアのデイノニクスが陸上の頂点捕食者になるため巨大化した適応進化を示しており、中国の白亜紀後期の恐竜動物群を研究する上で大きな意義を持つと語った。(記者/魏夢佳、李昊澤)