【新華社フランクフルト4月3日】ドイツでは細分化されたニッチ市場で世界的または地域的にトップシェアを持つ中小企業を「隠れたチャンピオン」と呼ぶ。このチャンピオン企業と政財界の参加者を結びつけるイベント「ワールド・マーケット・リーダーズ・サミット」の楊明(よう・めい)中国首席代表はこのほど、新華社の単独インタビューに応じ、中国とドイツ間の経済・貿易協力は数十年にわたって続いており、大型の多国籍企業が中国で良好な発展の土台を築いているだけでなく、多くの中小企業、特に隠れたチャンピオン企業にも投資・事業発展の強いニーズがあるとの認識を示した。
中国はドイツ企業が熱い視線を向ける投資先の一つ。ドイツ経済研究所によると、2023年の対中直接投資は前年比4・3%増の119億ユーロ(1ユーロ=約163円)と過去最高を記録し、ドイツの海外投資総額の10・3%を占め、14年以降最も高い水準となった。
楊氏はドイツ企業にとって中国の存在感の大きさは言うまでもないと指摘。「中国は巨大な市場と消費者層を有するだけでなく、アジア全体に効果を及ぼすこともできる。例えば、中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)自由貿易圏を通じ、ドイツ企業はさらに広い市場に接触するチャンスを手に入れられる」と述べた。
同氏によると、ドイツの隠れたチャンピオン企業数は1300社以上と世界全体の半数に迫り、経済・社会の発展を促進する重要な力となっている。
ワールドマーケット・リーダーズサミットは「隠れたチャンピオン企業年次総会」とも呼ばれ、11年に始まった。参加者らは世界の産業・企業の発展に関するさまざまな議題をめぐって意見を交わす。今年は1月末から2月初めにかけてドイツで開催され、ドイツと欧州の他の地域の企業約500社の代表が参加した。
楊氏はこれまでのサミットで、隠れたチャンピオン企業の中国市場に対する評価と要望に注視してきた。サミットの調査では、商取引や製造業などの分野の中小企業が対中協力に意欲的で、協力を求める案件の数が数十万件を超えていることが示された。
協力に対する意欲は高いものの、さまざまな理由で実現できていないケースも非常に多い。例えば、多くの中小企業が中国で展示会に出展し、同業の中国の協力パートナーを見つけたものの、交流の時間が短く、その後のフォローアップと深い交流が不十分なことが対中投資に影を落としている。
今年は中国でもう1度サミットが開かれる予定で、楊氏は大きな期待を寄せている。サミットとその参加者はドイツと欧州の中小企業の実際のニーズに応じてプロジェクト全体案を作成し、プラットフォームの「ドイツ欧州中小企業中国協力センター(DEZ)」を利用して、対中協力の意向があるドイツの中小企業に「ワンストップ型クラスター式」サービスを提供するとみられる。
楊氏は、両国企業間の整合性が高く、効率的な深い交流とマッチングを通じて、中独ないし中欧間の中核的製造業企業群を徐々に形成し、中国のイノベーションの活力とドイツの良好な産業基盤をうまく融合させ、互恵・ウィンウィンと共同発展を実現することへの期待感を示した。