【新華社天津12月10日】中国と欧州連合(EU)は2022年末時点の貿易額が8473億ドル(1ドル=約145円)に上り、互いに第2の貿易相手となっている。今年は全面的戦略パートナーシップ樹立から20年。双方はこれまで、世界の二大主要経済国・地域として互恵協力関係を保ち、手を携えて数々の成果を上げてきた。
自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループはこのほど、本社以外で最大の開発拠点である中国の大衆汽車(中国)科技がエントリーモデルの電気自動車(EV)用プラットフォーム(車台)を3年以内に開発し、中国の顧客ニーズに合わせたEVモデルを発表すると明らかにした。
欧州最大の自動車メーカーによる今回の表明は、中国市場により一層溶け込む決意の表れであり、中国と欧州の緊密な協力関係の象徴でもある。
大衆汽車(中国)科技は5月、安徽省合肥市に設立された。総投資額は約10億ユーロ(1ユーロ=約156円)で、24年初めに操業を開始する予定。インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)の開発に注力し、自動車・部品の市場投入までの時間を3割短縮する。
VWグループの中国法人、大衆汽車集団(中国)のラルフ・ブラントシュテッター董事長兼最高経営責任者(CEO)は「われわれは『中国で、中国のため』の重要な開発業務に一層力を入れていく。新たなプラットフォームの開発は、活気に満ちた中国のEV市場で新規顧客層の迅速な開拓が可能になることを意味している」と語った。
多くのドイツ企業が中国に目を向け、根を下ろす選択をしている。鉄道車両用塗料の製造、耐高温・焦げ付き防止調理器具向け塗料の開発・生産を手がけるバイルブルク(Weilburge)は、20年に天津市武清区の中国法人、威堡塗料(天津)を稼働させた。これまでの年間売上高は平均1億元(1元=約20円)を超え、塗料の生産量は年間約1200トンに上る。
中国を将来の有望市場と見なし、中国事業に力を入れるドイツ企業がここ数年、増えている。中国は多くのドイツ企業にとって将来の成長を左右する重要な生産拠点と販売市場であり、信頼できるパートナーにもなっている。
在中国ドイツ商工会議所が6月に発表した在中ドイツ企業288社を対象にした調査結果によると、ドイツ企業の半数以上が、重要な市場である中国での競争力を維持するため、今後2年以内に対中投資を拡大する予定だと回答した。
ドイツ企業だけでなく多くの欧州企業が中国との協力を加速させ、成果を上げている。
欧州航空機大手エアバスの天津工場では9月末に、A320シリーズの2本目の最終組み立てラインを増設する工事が始まった。
ベルギーの航空サービスプロバイダー、ADBセーフゲートの天津工場を訪れてみると、約7千平方メートルに及ぶ航空機着陸誘導装置の製造・測定試験場で、調光器や埋め込み式照明など複数の生産ラインがフル稼働していた。
同社で中国事業の運営を担う楊新宇(よう・しんう)中国区運営副総裁は「わが社の製品は中国の大・中規模空港で広く使われており、米国やベルギー、ポーランドなどにも輸出している」と述べ、中国市場の見通しに強い自信を示した。
今年に入り、国をまたいだ投資活動が世界的に冷え込む中、対中投資はおおむね安定的に推移している。在中国EU商工会議所がまとめた今年の景況感調査によると、調査対象企業の9割以上が中国への投資を計画しており、うち59%が中国を三大投資先の一つと見なしていた。
中国欧州経済技術協力協会の陳璟玥(ちん・けいげつ)常務副会長兼秘書長は「この20年、中国とEU間の経済・貿易は質・量ともに伸び続けてきた。中国と欧州は協力し合いながら互恵・ウィンウィンを実現し、貿易額は9倍近く増加。中国の対EU投資額はゼロから数千億ドルまで拡大し、双方は強固な経済的共生関係を確立した」と語った。(記者/毛振華、宋瑞)