江蘇省の馬鞍遺跡から、6千年前の人類ゲノムデータ取得に成功

江蘇省の馬鞍遺跡から、6千年前の人類ゲノムデータ取得に成功

新華社 | 2023-09-19 14:17:09

   中国社会科学院考古研究所華東基地へ移送された江蘇省無錫市馬鞍遺跡の墓を発掘する考古学者。(6月2日撮影、無錫=新華社記者/朱国亮)

  【新華社無錫9月19日】中国江蘇省無錫市馬鞍遺跡の考古学研究はこのほど、6千年前の馬家浜(ばかほう)文化期における古代人のゲノムデータ取得を成功し、長江下流の古代DNA研究の空白を埋めた。同遺跡の古代人は、侗台(トンタイ)語族の祖先に関連している可能性がある。

  無錫市文物考古研究所と上海市の復旦大学が17日、無錫市で開催されたシンポジウムで、「馬鞍遺跡の馬家浜文化期人骨測定報告」を共同発表した。

  復旦大学科技考古研究院の文少卿(ぶん・しょうきょう)副教授が率いる研究チームの杜盼新(と・はんしん)博士は研究成果について、中国の考古学界で初めて6千年前の馬家浜文化期における古代人のゲノムデータ取得に成功し、長江下流域の古代DNA研究において環境の影響や保存状態の悪さにより不足していた部分が埋まったと紹介。有史以前における長江下流の考古学的文化集団の起源や移動を知る上で大きな参考になると説明した。

  無錫市文物考古研究所は6月2日、馬鞍遺跡で発見した墓葬2基に対する発掘調査の様子をインターネットでライブ配信し、古代人の骨格2体が見つかった。同研究院は2体の骨格サンプルを採取し、そのうち1体分からDNAの抽出に成功した。

  杜氏によると、サンプルは男性で、母系遺伝タイプはF1a1’4だった。すでに発表されている古代の各地域におけるミトコンドリアDNAデータを検索したところ、遺伝タイプはベトナム北部(今から4千~2千年前)やラオス北部(3千年前)、インドネシア(2千年前)、フィリピンのルソン島(1800年前)、広西チワン族自治区河池市臘岜洞(ろうはどう、1500年前)の古代遺跡、タイ北部(2500~800年前)の棺を崖に懸ける「懸棺葬」に存在することが明らかになったという。

  杜氏は、研究者が馬鞍遺跡から採取した遺伝タイプをさらに現代の語族群の遺伝系譜と比較したところ、遺跡の古代人が侗台語族の祖先に関連している可能性があることを発見したと語った。

  無錫市文物考古研究所が2022年4月から23年2月にかけて行った発掘作業では、馬家浜文化期の墓26基を発見。うち20基は現場で発掘を進め、残りの6基は実験室で発掘を行うため周囲の土ごと取り出し、中国社会科学院考古研究所華東基地へ移送し、学際的な研究室発掘作業を行った。(記者/朱国亮)

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