
シンポジウム会場に設けられた展示ブースで、無形文化遺産に指定される伝統技法で作られた医薬品を手に取る人(右)。(1月31日撮影、天津=新華社記者/趙子碩)
【新華社天津2月28日】中国天津市には伝統医薬分野で国が指定する無形文化遺産が8件あるほか、市も29件を指定しており、歴史と文化の深い蓄積がある。同市でこのほど開かれた伝統医薬無形文化遺産の保護に関するシンポジウムでは、遺産継承のあり方や科学的解明、産業化への道筋を巡り議論が交わされた。
中医薬(中国伝統医薬)の香りが漂う展示ブースでは、無形文化遺産の伝統技法に現代的な美学を取り入れた生活雑貨を試す多くの人の姿が見られた。薬草の香り袋や数珠ブレスレットは持ち運べる文化アイテムであり、十数種類の薬材を練り固めたくしはマッサージなどに使うことができる。昔ながらの製法で作られた線香や渦巻き香は、静かに漂う香りが心を落ち着かせる。

シンポジウム会場に設けられた展示ブースで、無形文化遺産に指定される伝統医薬品の説明を聞く人(右)。(1月31日撮影、天津=新華社記者/趙子碩)
天津市文化・観光局の李茁(り・さつ)副局長は、天津はここ数年、無形文化遺産の保護・伝習拠点や展示の場を作ることで、伝統医薬の無形文化遺産を現代の生活に息づかせていると語った。
300年以上の歴史を持つ老舗「益徳成」の聞薬(もんやく=嗅ぎ薬)は、さまざまな無形文化遺産展示会を通じて新たな販路を開拓してきた。国の無形文化遺産に指定される「益徳成聞薬」制作技法の代表的伝承者、馬衛東(ば・えいとう)さんは「長年多くの無形文化遺産展示販売イベントに参加してきた。毎回のように商談がまとまり、大きな収穫があった」と語った。益徳成聞薬は現在、全国に約70店舗を展開している。

シンポジウム会場に設けられた展示ブースで、無形文化遺産に指定される伝統医薬品のパンフレットを手に取る人(手前)。(1月31日撮影、天津=新華社記者/趙子碩)
伝統医薬の無形文化遺産の多くが、異分野とのコラボレーションによって新たな道を切り開いている。老舗ブランド「楽仁堂」は伝統医薬と剪紙(せんし=切り絵細工)を組み合わせ、伝統医薬文化を表現した一連の剪紙作品を製作。キーホルダーや冷蔵庫マグネット、合香珠(複数の香料を調合した小さな香り玉)なども開発し、無形文化遺産の技芸に既存の枠を超えた新風を吹き込んでいる。
中国では今、伝統的気功法「八段錦」に熱中する若者が増え、伝統医薬の健康商品がネット通販で人気を集め、伝統医薬文化をテーマにした夜市も次々と話題を呼んでいる。人々の健康意識の高まりとともに、伝統医薬の無形文化遺産はさまざまな「新しい姿」で現代の暮らしに溶け込み、新たな輝きを放っている。(記者/宋瑞、栗雅婷)