中国・青蔵高原東部での古人類拡散、最高標高を更新 新遺跡発見で

中国・青蔵高原東部での古人類拡散、最高標高を更新 新遺跡発見で

新華社 | 2025-12-24 09:26:00

従前措遺跡の遠景。(成都=新華社配信)

 【新華社成都12月24日】中国四川省文物局は22日、同省カンゼ・チベット族自治州稲城県の高原湖「従前措」付近で、重要な意義を持つ旧石器時代の遺跡を発見したと明らかにした。遺跡は皮洛遺跡群の重要な一部で、今回の発見は青蔵高原東部の人類の移動・拡散の最高標高記録を更新した。

 皮洛遺跡の発掘責任者、四川省文物考古研究院旧石器考古研究所の鄭喆軒(てい・てつけん)所長は今回見つかった従前措遺跡について「出土した190点余りの石器は主に小型の剥片(はくへん)工具や極小石片などの小型・中型石器で、全体として細石器遺物の組み合わせになっていた」と紹介。出土石器は約1万年前に人類が青蔵高原に定着したことの重要な実証になると説明した。

従前措遺跡で探索活動を行う発掘調査隊員。(成都=新華社配信)

 従前措遺跡の最も古い年代は約1万2千年前で、皮洛遺跡群の中で最も標高が高い。皮洛遺跡は青蔵高原の遺跡の中で、現時点で最も年代が古く、面積が最大で、文化的要素が豊かな遺跡とされ、今回の従前措遺跡の発見により、最高標高記録は4300メートル余りに更新された。

 最後の氷河期の氷河が融けると、従前措遺跡の周辺には多くの湖が形成され、さまざまな動物が生息するようになり、古人類が狩猟採集を行うのに適した条件がもたらされた。

従前措遺跡出土の細石器。(成都=新華社配信)

 遺跡出土の石器は打製技術が成熟しており、一部は精細な加工が施され、刃先も鋭かった。皮革や肉類を容易に切断することができ、古人類が高原の生存環境に適応するために独自の技術を発展させたことを示している。

 青蔵高原は南極、北極に次ぐ第三の極と位置付けられ、自然環境は人類の生存と拡散に適さないと考えられてきた。今回の発見は、青蔵高原東部の旧石器時代考古学の新たな飛躍的進展であり、高標高地域の人類活動への理解を大きく深めた。

 これまでの研究では、中国華南地域の古人類が20万年余り前に東側から青蔵高原に到達し、その後、南アジアや西アジア、華北地域の人々が徐々にこの地に集まったとされる。従前措遺跡は重要な「時空の鍵」であり、初期の現生人類の東アジアでの拡散や移動ルートを考察する上で貴重な実物資料をもたらした。

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