南京大虐殺の史料を寄贈 魯照寧氏「歴史の記憶が平和を守る」

南京大虐殺の史料を寄贈 魯照寧氏「歴史の記憶が平和を守る」

新華社 | 2025-12-13 20:32:30

12日、取材に応じる魯照寧氏。(南京=新華社記者/陳雨寧)

 【新華社南京12月13日】南京大虐殺の発生から88年となる13日、12回目の犠牲者国家公祭日(追悼日)が行われた。中国江蘇省南京市の侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館(南京大虐殺紀念館)ではこれに先立ち、関連する証拠や史料の寄贈式が行われた。これまでも自ら集めた資料を寄贈してきた南京市生まれの中国系米国人、魯照寧(ろ・しょうねい)氏は今年、南京大虐殺の歴史を裏付ける新たな証拠として、英国とフランスの刊行物などを寄贈した。

 海外刊行物は第三者の視点から、旧日本軍の中国における残虐行為を裏付けている。魯氏が今年寄贈した資料のうち、1937年12月8日付のフランス紙「エクセルシオール」は、南京陥落直前の人口規模について言及し、「なお100万人の住民が残っている」としている。魯氏によると、同紙は他社の報道を引用するのではなく、中国特派員が直接記事を書いており、歴史の事実のさらなる裏付けになっている。

12日、新たに集めた史料を示す魯照寧氏。(南京=新華社記者/陳雨寧)

 南京大学歴史学院教授で国家記憶・国際平和研究院研究員の張生(ちょう・せい)氏は「日本の右翼勢力は戦後、南京の人口の問題を持ち出し、南京大虐殺を否認してきた」と指摘。「この新聞は当時の南京全体の人口状況を記録しており、日本の右翼勢力の誤った主張に対する強力な反論となる」と評価した。

 1980年、魯氏は16歳で両親と共に米国へ移住した。南京大虐殺についてはほとんど知らなかったが、2002年の帰国時に南京大虐殺紀念館を初めて訪れたことが、その後の人生の軌跡を変えるきっかけとなった。「歴史を保存し、中国を侵略した日本軍の暴行を明らかにし、数十年にわたる右翼分子による歪曲(わいきょく)と否認のうそを暴く必要がある」。魯氏はより多くの人々にこの歴史を知ってもらうため、日本軍による中国侵略を裏付ける史料の収集を始めた。

12日、魯照寧氏が新たに集めた史料。(南京=新華社記者/陳雨寧)

 魯氏はこれまで20年以上にわたり、インターネットで見つけた史料を競売で入手するなどして、南京大虐殺を裏付ける証拠を体系的に収集してきた。ほぼ毎年故郷の南京に寄贈を続け、寄贈した史料はこれまでに2400点を超える。重要な歴史的価値を持つものも多く含まれ、例えば1937年12月14日付の「シカゴ・デイリー・トリビューン」や1937年12月6日付の「ニューヨーク・タイムズ」には、日本軍が殺人の数を競った「百人斬り」に関する記事が掲載されている。西側主流メディアでも「百人斬り」が報道されていたことはこれまで知られていなかった。

 寄贈した史料は南京大虐殺紀念館でも展示されている。魯氏は「努力が認められたという思いもあるが、より多くの人々に歴史を知ってもらえるという思いが強い」と述べた。南京大虐殺の歴史の真実を守ることは、平和を維持する上で大きな意義があると、魯氏は考えている。「むごたらしい過去を消すことはできない。日本はかつての過ちを認めなければならない。歴史をしっかりと覚えておくことでこそ、共に平和を守ることができる」(記者/方芸暁、陳雨寧、陳聖煒)

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