雲南省の「生花工場」を支える科学技術

新華社 | 2025-03-21 11:11:17

　【新華社昆明３月２１日】春分の日の２０日、中国南西部の雲南省は春の陽気に満ちあふれていた。同省は切り花の年間生産量が２０６億本に上る。昆明市晋寧区の花き企業、雲南雲天化花匠鋪科技が運営する晋寧花き産業現代モデルパークは敷地面積が約１５００ムー（約１００ヘクタール）に及び、数値制御（ＮＣ）温室による通年栽培、グリーン（環境配慮型）栽培による全工程のスマートかんがい、赤外線画像認識による効率的な自動分類・結束作業を実現。先進的なスマート温室で切り花用のバラを無土壌栽培する「スーパーファクトリー」となっている。

　同社で園芸技術指導を担当する馬永伝（ば・えいでん）さんは、パークの温室は「呼吸できる」と話す。施設の頭脳である中央制御システムがデータを収集、分析して保温や温度調整、遮光、換気ファン、高圧ミストなどの設備を正確に調整し、切り花用のバラに必要な光や温度、水、空気、養分などの条件を生育段階に応じて的確に整えている。

１９日、雲南雲天化花匠鋪科技が運営する晋寧花き産業現代モデルパークの収穫後処理センター。（昆明＝新華社配信／宋光旭）

　パーク内は１０以上のエリアに分かれ、個々の温室の広さは８０～１６０ムー（約５・３～１０・６ヘクタール）に及ぶ。各エリアに設置されたセンサーが温度や湿度、光、二酸化炭素などの環境データをリアルタイムに中央制御システムへ送るとともに自動調整し、植物の成長に最適な環境を常に保っている。

　馬さんは「温室栽培は時間や気候などの不確定要素の影響を受けないため、毎日確実に収穫、出荷できる」と語った。切り花用バラの１日当たり生産量は５０万本に上る。

１９日、雲南雲天化花匠鋪科技が運営する晋寧花き産業現代モデルパークの切り花用バラ自動等級選別装置。（昆明＝新華社配信／宋光旭）

　地植えのバラ栽培では連作障害や資源の浪費などが起こることから、パークはグリーン無土壌栽培技術を全面的に導入。ヤシ殻（ココナッツピート）の培地に水と肥料を一体化した循環システムを組み合わせている。さらに、スマートシステムによるリアルタイム分析に基づき、窒素やリン、カリウムなど１７種類の元素を品種に応じて的確に調合した栄養液を滴下し、植物の健全な成長を確保している。

　栽培で使用した水も、回収した後にろ過・消毒処理をして再利用しており、コスト削減と排水抑制を両立させ、エコフレンドリーを実現している。馬さんは「先進的な栽培技術と専門設備を導入したことで、花き生産量は従来の栽培モデルの３～４倍になった」と説明。花の形もより整い、色合いもより鮮やかになったという。

１９日、雲南雲天化花匠鋪科技が運営する晋寧花き産業現代モデルパークで予冷処理された生花。（昆明＝新華社配信／宋光旭）

　収穫後の等級分けは切り花の商品価値を高める鍵となる。これまでは多くの人手が必要だったことから、パークは赤外線画像認識システムを開発。収穫後処理センターでは、急速に予冷したバラのトゲや葉を取り除いて選別機に乗せ、赤外線画像認識で花の開き具合や枝の長さや太さを測定して等級ごとに自動的に分類し、包装している。

　「作業の標準化で効率が３割向上した」。馬さんによると、予冷処理で鮮度を保持した切り花は、花瓶での花持ちを２週間以上に延ばせる。各花束には個別の２次元バーコードも印刷され、消費者は生産履歴を確認できる。