北京市の「氷立方(アイスキューブ)」のアイススポーツセンターでスケートを体験する市民。(1月3日撮影、北京=新華社記者/李欣)
【新華社北京3月14日】中国ではこのところ、ネットの各種生活サービスプラットフォームで「体験講座」というキーワードを検索すると、フィットネスや手芸、楽器など、さまざまな講座のグループ割引情報が大量に見つかる。それらは価格が安い上、目新しい講座もあり、若者の間で人気となっている。
例えばピラティス個人指導の体験講座は1コマ9・9元(1元=約20円)、中国料理の包丁技術体験は1コマ19・9元、ジャズ入門少人数クラスは3回で29・9元など、一般に40分から1時間程度の体験講座が数元から数十元で受講できる。安価な料金は若年消費者層の参加のハードルを下げるだけでなく、さまざまな活動を試すコストを低減し、生活を豊かにするための選択肢を増やし、若者が興味を広げる新しいルートとなっている。
天津市武清区に住む王さんはかつて、馬術は「貴族のスポーツ」だと思い込んだが、9・9元の体験レッスンを受けて考えが変わった。王さんは「馬術の知識を学んだだけでなく、実際に馬に乗ることができた」とし、低価格の講座は「高嶺の花」の活動を手が届くものに変えたと感激しきりだった。
社会人になって間もない張斯婕(ちょう・ししょう)さんは、すでに豊富な低価格体験講座の受講歴を持つ。張さんは、体験講座の最大のメリットは「気に入らなければ、気軽に負担なくやめられること」だと考えている。張さんは以前、1カ月の間にラテアート、ピラティス、バンジーエクササイズ、スケートボードなどの講座を体験。「この種の体験講座はお金と時間の節約になり、消費者は素早く興味を持てる活動を見つけられる」と話す。
多くの体験講座は、低価格以上にその目新しさで人気を呼んでいる。四川省成都市に住む文化財や博物館愛好家の辰辰(しんしん)さんにとって「文化財修復体験は、これまで受講した中で最も特別な講座だった」そうで、「文化財修復はあこがれの仕事。壊れた文化財が自分の手の中で徐々に修復され、輝きを取り戻すのを見るのは、本当に有意義な体験だった」と振り返る。
体験講座の種類はますます多様化しており、フィットネスやスポーツなどのメジャーなもの以外にも、フィルム現像、無形文化遺産、ファッションデザインなどのニッチな内容が次々登場している。こうした短期間で低価格の体験講座は、若者の「自分へのご褒美」の消費ニーズに応え、若者が自分を高め、生活を豊かにするための新たな選択肢となっている。(記者/楊珏)