中国最古の火起こし器を発見 江蘇省

中国最古の火起こし器を発見 江蘇省

新華社 | 2025-03-03 11:27:04

   【新華社南京3月3日】中国江蘇省南京市で2月28日に開かれた江蘇地域文明探源プロジェクトの2024年度考古学成果報告会で、興化市の草堰港(そうえんこう)遺跡から火起こし器がほぼ完全な状態で出土したことが分かった。分析による年代は約7千年前で、中国最古の実物となる。

   遺跡は同市千垜(せんだ)鎮草王村の東にあり、面積は8万平方メートル余り。主な年代は約7千年前で、長江下流と淮河(わいが)下流に挟まれた江淮地域東部の里下河地区に位置する。江淮東部では現時点で最古の新石器時代遺跡で、全てが水面下にあり、江蘇省文物考古研究院と南京博物院が22年から体系的な発掘調査を行っている。

   草堰港遺跡出土の火起こし器。(1月7日撮影、南京=新華社配信)

   発掘プロジェクトの責任者、江蘇省文物考古研究院の甘恢元(かん・かいげん)研究館員によると、摩擦熱を利用した火起こしは、初期人類の創造的な発明という。

   遺跡ではこれまでも複数の火起こし器が出土している。今回発見した器具は、長さ60センチ超の火切り棒と30センチ超の火切り板からなり、全体は褐色で、表面に十数個の黒い円形の焦げ跡がはっきりと残っていた。

   草堰港遺跡出土の火起こし器。(1月7日撮影、南京=新華社配信)

   甘氏は今回の出土器具について「遺跡で発見された最長かつ最も保存状態の良い火起こし器だ」と指摘。火切り板の一端には携帯や吊り下げのためのひもを結ぶ溝があり、板の上には火種を火口(ほくち)などの可燃物に落としやすいように等間隔の溝が刻まれていた。

   これまでの長い期間、地理学者や考古学者は6500年前に海の侵食を受けた里下河地区に古代の遺跡はないと考えていたが、草堰港遺跡の発見はこの認識を覆した。遺跡からは土器や骨器、石器、玉器、木器など遺物3千点余りのほか、シカやブタ、ウシ、イヌ、鳥類などの動物遺存体、オニバスやヒシの実、イネなどの水生植物遺存体が出土。当時の人々の生活様式や美意識を生き生きと伝えている。(記者/蔣芳、朱筱)

本ウェブサイトに関するご意見、ご提案等が

ありましたら xinhuanetjp@news.cn までご

連絡ください。