来場者に自身の作品を解説する李士傑氏(左)。(合肥=新華社記者/郭丹)
【新華社合肥2月28日】中国安徽省合肥市に、中国書道の魅力をたっぷり体験できる総合施設「中国書法大厦」がある。2017年の落成以来、書道作品や古典書籍などを展示するほか、国際書道招待展や書道コンテスト「中国書法大厦杯」など各種の書道展を開催し、愛好家の交流を促進してきた。
建物に入るとすぐに、高さ10メートルほどある巨大な書道作品「酔翁亭記」が目に飛び込んでくる。草書の軽やかで優雅な筆致が印象的だ。揮毫(きごう)したのは、安徽省書法家協会第5期主席で中国書法大厦芸術委員会主任、安徽省書法院院長の李士傑(り・しけつ)氏。「中国文化を最も直接的に表現するのが書道だ。漢字は数千年にわたる中華民族の歴史を担っている。書道は一筆一画で中華文明を表現し、中華文化をつづる」と語る。
李士傑氏の書道作品「酔翁亭記」。(合肥=新華社記者/郭丹)
安徽省は筆、墨、紙、硯(すずり)の「文房四宝」の産地として名高い。施設ロビーの長机には特産の宣筆(せんぴつ)、徽墨(きぼく)、宣紙(せんし)、歙州硯(きゅうじゅうけん)が整然と並べられている。壁は紙のように白く、床には水墨画風の模様が施され、まるで書の中を歩いているようだ。階段のスペースに設けられた本棚には、名書家の手本帳や各種の古典書籍が並んでおり、建物の各所から墨の香りを感じることができる。
施設の4階では、春節(旧正月)に家の入り口などに貼る縁起の良い対句「春聯」の展示会が催されていた。5回目となる今回は全国各地の書家から2千点以上の作品の応募があり、厳選された215点が展示された。地元安徽省の出身という来場者は、遠出することなく全国の名書家や愛好家の作品を鑑賞でき、心の豊かさを得られるし、思想を交流する場にもなっていると語った。
自身が所蔵する王鐸(おう・たく)の掛け軸「懐白蓮涇恵慶寺」を見せる李士傑氏。(合肥=新華社記者/郭丹)
同施設はこれまで、ハイレベルな書道研修や書道研究の学術会議、名書家の作品の収集などさまざまな形式やプラットフォームを通じ、中国の書道文化と書道芸術の発揚と普及に努めてきた。李氏は「さまざまな形式の展覧を通じ、書家たちが技を磨き、思想をぶつけて火花を散らし合う交流の場を提供したい。また展覧会や交流会を通じて中国の書道芸術を広め、中国の優れた伝統文化を伝えていきたい」との考えを示した。
別館に設けられた特別展示室には、やはり李氏の筆による高さ約10メートルの巨大な書道作品が並ぶ。まるで竜が舞うような迫力ある筆致だ。職員によると、李氏は74歳になる今も、こうした大作を書くときは紙を床に広げ、腰をかがめて3~4時間で一気に書き上げる。「書道は意志の力が試される」と李氏は語る。「時間がたてばたつほど、書道の研さんを積み続けることの魅力を実感できる」という。
「文化は蓄積であり、書道はその表現だ」。李氏は「書道を愛し、中華の優れた伝統文化を愛する人をたくさん育てたい。さまざまな経路で中国書道の魅力を発信し、中国文化の美しさを世界に感じてもらいたい」と衰えることのない意欲を語った。
施設内の展覧室の一角。(合肥=新華社記者/郭丹)