絵画芸術で郷村振興の新たな風景を描く 海南省東方市

絵画芸術で郷村振興の新たな風景を描く 海南省東方市

新華社 | 2025-02-20 10:32:29

16日、アトリエで子どもに写生を教える王安能さん(右)。(東方=新華社記者/陳子薇)

 【新華社海口2月20日】中国海南省東方市の北黎河沿いに、小さな漁村の北黎村がある。かつてこの村は、省西部の重要な漁港、北黎港があり、南洋風の騎楼建築(1階部分を後退させて公共通路とした建築)が立ち並び、商人たちが行き来して栄えていた。

 道路や鉄道などの交通網が発展するにつれ、同村は水陸交通の要衝としての役割を失った。人々の移動や物流は陸上交通に依存するようになり、村の存在感は次第に薄れていった。

 変化に直面した村人たちがより良い発展の機会を求めて村を出ていくと、住む人も修繕する人もいなくなった騎楼は日に日に荒れ果て、通りも閑散としていった。

15日、東方市北黎村の一角。  中国海南省東方市の北黎河沿いに、小さな漁村の北黎村がある。(東方=新華社記者/陳子薇)

 東方市出身の青年、王安能(おう・あんのう)さんはさまざまな地域で働き、2022年に故郷に帰ってきた。絵を描くことが好きで、幼い頃はよく北黎村へ写生に訪れていたという。故郷に戻ると、村に古い家屋を借りて油絵のアトリエに改装し、村の風景や村人たちの暮らしを描き始めた。

 村の自然で穏やかな美しさを描いた王さんの作品は、多くの芸術愛好家の関心を集めた。その後王さんは、友人とアトリエの隣に美術館と書店を開き、各地の画家の作品を展示し、村人や観光客が鑑賞や休憩ができる場を作った。

15日、東方市北黎村にある「黎陶」(リー族の陶器)の工房。(東方=新華社記者/陳子薇)

 王さんによると、交流サイト(SNS)などの発展で村にいながらも外の世界とつながれるようになって、村に関心を持って訪れる人が増えてきた。古い家屋の多くが貸し出されて民泊施設や衣料品店、地元のリー族の陶器「黎陶」や織物技術「黎錦」を扱うデザインショップへ生まれ変わったという。

 芸術作品の販売は経済の新たな成長分野となり、美しい絵画や民族色豊かな芸術品がアート好きな人たちや観光客の好評を得ている。作品を購入していく人も多く、地元経済の発展につながっている。

15日、海南省東方市北黎村の書店で、本を読む観光客。(東方=新華社記者/陳子薇)

 SNSでの情報発信などを通じて村の知名度は高まり、多くの観光客が訪れるようになった。観光客が村で芸術作品を鑑賞して、伝統工芸を体験し、特色あるグルメを味わい、民泊施設に泊まることで、飲食や宿泊、ショッピングなどの産業の発展を促した。

 村は昨年12月、海南省の伝統村落リストに登録された。今では都市の若者たちが故郷に戻り起業する場所として注目されている。(記者/陳子薇)

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