李家崗遺跡出土の炭化米。(常徳=新華社配信)
【新華社長沙1月27日】中国の湖南省文物考古研究院は、同省常徳市澧(れい)県の李家崗遺跡で新石器時代・彭頭山文化の水田跡を発見したと発表した。今回の発見により、長江中流域の初期稲作の開始時期は、これまで最古とされた同県の城頭山遺跡より2千年近く早い8千年余り前までさかのぼった。澧陽平原の古水田に関する重要発見であり、長江中下流域の稲作起源と初期稲作の新たな考古学的裏付けとなった。
李家崗遺跡は1984年の第2回全国文化財センサスで発見された彭頭山文化期の集落で、城頭山鎮大興村の低い丘の上にある。湖南省文物考古研究院が2023~24年に発掘し、24年は水田跡2カ所と壕溝(ごうこう)、住居跡、灰坑、灰溝、墓など各種の生活遺構や生産遺構を発見。土器や石器などが出土した。
同研究院の李意願(り・いがん)研究員は「24年の最も重要な発見は2カ所の水田遺構で、二つの水田地層で採取した土壌サンプルのイネ植物珪酸体濃度測定では、多くの植物珪酸体の密度が1グラム当たり5千粒を超え、中には1万粒に達するものもあった」と説明。分析結果はいずれも古水田の判定基準と一致していたと述べた。
李家崗遺跡の北側で見つかった古水田のかんがい用の溝と田地。(常徳=新華社配信)
李氏によると、水田跡は遺跡の南と北側壕溝付近にあり、うち北側の水田では田地と隣接する細く浅い灰溝が見つかり、かんがい用の溝であったと推測される。水田の北側と初期壕溝には明らかな共生関係が見られ、壕溝は水田に水を引き込む水路の役目を果たしていたと思われる。
李氏は「田地や水路の構造は当時の稲作生産が既に成熟した管理の下にあったことを示している。初期の水田の形態的特徴からも新たな考古学的証拠が得られた」と述べた。
遺跡では比較的独立した二つの住居建設エリアも見つかった。居住空間の区割りと家族構成がより明確となり、彭頭山文化の集落と社会に対する認識を新たにした。
同研究院の高成林(こう・せいりん)院長は、李家崗遺跡は環濠や住居跡、墓、水田跡、古水系など集落の文化的、生態学的景観の要素が良い状態で保存されており、8千年前の人々の自然景観への適応と利用、改良行為を体系的に明らかにしたと指摘。長江中流域の典型的な初期稲作農業の古村落の姿を立体的に示し、彭頭山文化の集落形態や人と自然の関係に関する研究の空白を埋めたと語った。(記者/張格、周勉)