車内で弁当を販売する乗務員。(上海=新華社配信)
【新華社北京1月26日】中国の長距離列車での食事のスタイルが大きく変化している。かつては持ち込みのカップ麺に給湯器でお湯を注いで食べるのが定番だったが、今ではスマホで注文して熱々の料理を座席まで届けてもらうこともできるようになった。一部の区間では春節(旧正月)期間に特別メニューも打ち出され、列車で故郷に向かう帰省客の楽しみの一つになっている。
高速鉄道「G3131」(山西省太原-浙江省温州)に昼前に乗った趙新竜(ちょう・しんりゅう)さん(25)は、午後8時に下車駅の杭州に到着するまで、昼食と夕食を車内で取ることにした。中国鉄路のアプリ「12306」に座席番号を入力し、料理を選択して注文と支払いを済ませると、途中駅で停車中に乗務員が座席まで熱々の食事を届けてくれた。「食堂車に行ったり、弁当を食べたりもいいが、デリバリーができるとは。車内で何を食べるか悩む必要がまったくない」と満足げな様子だった。
車内で弁当を選ぶ乗客。(上海=新華社配信)
沿線の名物料理が食べられるのも、高速鉄道の「車内グルメ」で楽しめる魅力の一つだ。高速鉄道「G1605」(江蘇省南京-福建省平潭)に乗った邵(しょう)さんは、やはり「12306」で、沿線の浙江省の伝統料理「嵊州小籠包(じょうしゅうショーロンポー)」を昼食に頼んだ。ほどなく座席に届けられた料理を頬張ると「皮はやわらかく、中のお肉はジューシー。高速鉄道の車内で熱々の小籠包を食べられるなんて」と感嘆の声を上げた。
春節の特別メニューを打ち出した区間や路線もある。中国鉄路上海局集団は14日から、長江デルタ地域(上海・江蘇・浙江・安徽1市3省)向けに車内食19種を追加。価格帯も幅広く、多様な旅客のニーズを満たしている。北京発合肥行きの特急列車「T35」では、安徽省の特色ある料理をふるまう特別レストランを設置し、プロの料理人がその日に作った美食を提供している。
17日、快速列車「K212」(浙江省寧波-広東省広州)の車内で出来たての弁当を販売するサービス係。(杭州=新華社記者/江漢)
河南省の鉄道部門は、ご当地グルメが味わえフードロスも防げる「小皿料理」を打ち出した。おなじみの弁当や一品料理とともに、省内18都市の河南グルメを小盛りで提供。食堂車のサービス係の姚恵慧(よう・けいけい)さんは「中原地方の名物とあっておいしくできているし、小さなパックで出されるので、自然とフードロスが減っている」と効果を実感しているようだ。
中国鉄路鄭州局集団が運営する鄭州東駅12306料理注文サービスセンターでは、国家級無形文化遺産に指定されている「胡辣湯(フーラータン、辛味スープ)」をはじめとする河南地方の名物料理60種類余りをメニューに追加。今年の春節期間の注文数はUターンラッシュのピーク期に1日9千件を超え、最高記録を更新すると見込んでいる。(記者/沈氷潔)
17日、快速列車「K212」(浙江省寧波-広東省広州)の食堂車で料理を作る調理員。(杭州=新華社記者/江漢)