約4億1千万年前の植物群落想像図。(資料写真、南京=新華社配信)
【新華社南京1月21日】中国科学院南京地質古生物研究所はこのほど、同研究所の研究者が率いるチームが、貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州都匀市の包陽村付近で約4億1千万年前の「ミニ」植物、包陽ゾステロフィルム(Zosterophyllum baoyangense)の化石を発見したと明らかにした。化石の発見は、初期の植物の独特な生存戦略を明らかにし、4億年以上前の「植物の陸上進出」がどのように起きたかを解き明かす新たな手がかりを提供した。関連の研究成果は15日、英学術誌「英国王立協会紀要B生物学」」に掲載された。
植物の大型化石の証拠から、約4億3千万年前に植物は海から陸上への「進出」を開始したことが明らかとなっている。このプロセスは地球の生態環境を大きく変えた。数千万年の間に陸生植物の数、種類、複雑さが急速に増し、現在の陸上生態系の基礎が築かれ、「カンブリア爆発」に匹敵するこのプロセスは、「植物の陸上進出」と呼ばれる。
今回新たに発見された包陽ゾステロフィルムは、「植物の陸上進出」解明に新たな手がかりを提供する可能性がある。化石の形態から見ると、植物体の高さは約45ミリ、胞子嚢穂(ほうしのうすい)の長さはわずか5・8~10・8ミリ。当時の類似の植物の一般的な体長が100~200ミリだったのと比べると非常に小型で、これは極めて珍しい。
包陽ゾステロフィルムの化石。(資料写真、南京=新華社配信)
研究チームは分析を進める中で、包陽ゾステロフィルムが生息していた約4億1千万年前、植物は全く異なる2種類の生存戦略で進化したことを発見した。包陽ゾステロフィルムを代表とする種類は小型で、必要な栄養と繁殖投資が比較的少なく、寿命が比較的短かったと考えられており、短期間にライフサイクルを完結し、不安定な環境に適応していた。もう1種類のゾステロフィルム類は、大型で背が高く、必要な栄養と繁殖投資が比較的多く、安定した環境により適応していた可能性がある。
研究を率いた同研究所の黄璞(こう・はく)助理研究員は「生物が暮らす地球の表面には、多彩で豊富な地形が広がっている。生物は、河川や湖沼、険しい山や荒漠地帯などさまざまな環境に対応するためにも異なる生存スキルを身につける必要がある。陸生植物は、発展の初期段階に多様な生存戦略を進化させることで複雑な環境圧に打ち勝ち、『植物の陸上進出』を果たして、最終的に地球を緑で覆った可能性がある」と語った。(記者/王珏玢)