中国で高齢者向けリフォーム熱、「安全で快適」を重視

中国で高齢者向けリフォーム熱、「安全で快適」を重視

新華社 | 2025-01-16 13:08:56

第7回輸入博で、イケアが設けた「高齢者に優しい家」コーナー。(2024年11月9日撮影、上海=新華社記者/高敬)

 【新華社北京1月16日】中国ではここ数年、高齢化の傾向がますます顕著になり、高齢者の生活をいかにより快適で安全なものにするかが、社会の各方面から注目されるようになってきた。

 中国各地で現在、高齢者のニーズに合わせたリフォームの推進が加速している。北京市では近頃、高齢者の住宅で床面の滑り止めや壁の手すり、緊急通報装置を設置するなどの改修工事が増えている。河北省石家荘市の「高齢者に優しいモデルバス路線」では、バス停の路面とバス車体床面を同じ高さにし、車内には車椅子エリアを設置、沿線のバス停の標識も「大きな文字」に変更している。重慶市では公園にカーブ形の椅子が増え、健康遊具が置かれるなどの配慮がされている。

 江蘇省蘇州市民の顧(こ)さんは「今では私たちの携帯電話にスマート見守り機能が追加され、一人暮らしの母を心配する必要がなくなった」と話す。高齢者向けリフォームの際に、基本的な改修工事に加えて「スマート見守りパッケージ」を追加したためで、「母に個人の警備員を雇っているようなもので、何か異常があればすぐに警報が鳴る」という。

浙江省杭州市西湖区北山街道で、「スマート介護」のモデルルームを見学する社区(コミュニティー)の住民。(2024年10月18日撮影、杭州=新華社記者/韓伝号)

 江蘇省南京市江寧区に住む呉秀英(ご・しゅうえい)さん(90)は、「浴槽をシャワーに改造する特別パッケージ」を申請した。専門チームが自宅を訪問し、古い浴槽を撤去しただけでなく、滑りにくい床タイルやL型手すりも取り付け、入浴時の困りごとがすっかり解消した。

 2024年11月に開催された第7回中国国際輸入博覧会(輸入博)では、高齢者の難聴や不眠、動作の不自由などの生活上の悩みに焦点を当てた新製品やサービスが多数発表され、国内外の企業が協力を模索するホットな分野となった。

 スウェーデンの家具大手IKEA(イケア)のブースでは、静音時計やコーナーガード仕様のベッド、複数の手すりを備えたバスルームなどが展示されている。高齢者向けに特別に設計されたこれらのシーンは、日常生活に溶け込む高齢者に適した設計とリフォームを例示している。輸入博に出席した日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所の小野寺修所長は、多くの日本企業が中国で高齢者介護などのサービスの発展に注力しており、利用者の反応も良いと紹介した。

深圳国際スマート介護産業博覧会でスマートロックの説明を聞く高齢者。(2024年10月27日撮影、深圳=新華社記者/梁旭)

 人口の高齢化に積極的に対応するには、いかにして高齢者が老後の生活に適応できるように支援するかが重要となる。現在、高齢者の需要構造は生存型から発展型へ転換しつつあり、消費能力も向上し続けている。

 データによると、中国の60歳以上の高齢者人口は3億人に近い。中国のシルバー経済の規模は現在約7兆元(1元=約22円)で、35年には30兆元に達すると見込まれ、その潜在力は非常に大きい。シルバー経済は、今後の経済成長を支える新たなブルーオーシャンとなる可能性が高い。(記者/沈氷潔)

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