「中国市場を重視する姿勢は変わらない」 伊藤忠商事・小林文彦副社長

「中国市場を重視する姿勢は変わらない」 伊藤忠商事・小林文彦副社長

新華社 | 2024-12-24 15:36:49

北京大学で講演する伊藤忠商事の小林文彦副社長。(12月6日撮影、北京=新華社記者/郭丹)

  【新華社北京12月24日】「伊藤忠は長年にわたり中国市場を重視してきた。今後も実力と成果で、中国への投資が間違いでなかったことを証明していく」。日本の大手商社、伊藤忠商事の小林文彦副社長がこのほど、日本各界の著名人や経営者を招いて北京大学が行っている特別講座での講演後にインタビューに応じ、中国市場への長期的な期待と深耕への決意を語った。

  「伊藤忠は中国市場を非常に重視しており、この姿勢は昔から続いている」。小林氏によると、伊藤忠は1972年9月の中日国交正常化以前から繊維貿易を通じて中国と友好関係を築いていた。同年には中国国務院に「友好商社」と認定され、引き続き中国市場での展開を進めた。中国でのビジネスは現在、初期の繊維事業から、機械、金属、エネルギー、化学、穀物・油糧、食品、生活資材、情報通信、金融など多岐にわたる分野へと拡大している。伊藤忠の連結純利益のうち中国市場は14%程度を占めている。

  中国市場の未来については「中国と日本は一衣帯水の隣国だ。距離が近く、人口規模や市場規模も日本を大きく上回る。中国市場を重視することは伊藤忠にとって変わることのない長期戦略だ」と自信を見せた。中国市場への定着をさらに進めるため、伊藤忠は2015年から「1000人の中国語人材育成計画」をスタート。今では中国語を話せる社員が1308人に上っているという。

  グローバルな取引や投資を展開する伊藤忠は世界の自由貿易が直面する課題をどう捉えているのか。小林氏は「保護主義やナショナリズムが再び台頭し、多くの国々が影響を受けている。経済のグローバル化や地球温暖化対策といった国際的な協力を必要とする問題も、困難に直面している」と指摘する。

  小林氏によると、こうした課題の背景には「時間軸による違い」があるという。例えば、一部の国や企業が目先の利益のみを追求し、長期的利益を無視していると言われる。だが、解決に時間のかかる地球温暖化などの問題は、短期的利益だけを求める国々にとっても、最終的には無視できない重要事項になる。考えている方向は皆同じであり、異なる国々の短期・長期の利益のバランスをうまく調整しながら取り組んでいくことが必要になる。

  課題に対処するにはどうするか。小林氏は、伊藤忠商事の創業者である伊藤忠兵衛が提唱した「三方よし」の理念が参考になるかもしれないと語る。「三方よし」は、商売において「売り手よし、買い手よし、世間よし」を実現することを意味する。小林氏はこの理念について「一種のオペレーティングシステムのようなものであり、ビジネスだけでなく国家にも適用できる」と説明する。

  企業経営の観点から言えば、買い手や売り手の短期的利益を無視しては経営は成り立たない。短期利益がないと企業は存続できないからだ。だが短期的利益のみを追求し、社会的利益など長期的な視点を考慮しなければ、そのシステムはいずれ故障し、機能不全に陥る可能性がある。大事なのは、短期利益・長期利益の双方の視点を常に持ち、バランスを調整することだ。小林氏は、国家がグローバル化の問題に取り組む際にも「三方よし」の考え方を適用できると語った。(記者/郭丹)

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