5月に覇王茶姫が打ち出した新商品「万里木蘭」。鮮やかな赤色のデザインが結婚披露宴の祝いの雰囲気にぴったりと人気を集めている。(資料写真、北京=新華社配信)
【新華社北京11月22日】新郎新婦が腕を交差させて杯を飲み干すなど、お酒が重要な役を演じていた中国の婚礼が大きく変わりつつある。お酒の代わりに登場したのは、若者の間でブームの「新式ティードリンク」。タピオカ入りのミルクティーやフルーツティーなどさまざまなティードリンクがブライダル市場を席巻している。
中国のSNSアプリ「小紅書(RED)」に投稿された、披露宴でミルクティーをふるまったという体験談。(資料写真、北京=新華社配信)
中国のSNSでは、婚約パーティーや披露宴で新式ティードリンクをふるまったという書き込みが多く見られる。口コミ情報の豊富なアプリ「小紅書(RED)」で「婚礼ミルクティー」の話題に寄せられた投稿は13万件以上。人気の投稿や動画には数万の「いいね」がつけられ、コメント欄でも多くの若者が自身の経験を共有している。お酒の代わりにティードリンクを選んだ理由は「乾杯のお酒をお茶で代替する伝統がある」「新式ティードリンクのパッケージがめでたい」「お酒での失態がなくてすむ」などが挙げられている。
客にティードリンクを手渡す店員。(資料写真、北京=新華社配信)
「披露宴は気兼ねなく楽しめればいいもので、わざわざお酒を飲んだり、勧めて回ったりする必要はないと思う」。20代後半の耿(こう)さんは、ゲストが好きなものを好きなように飲めればいいと語る。自身の披露宴では新婦ともどもお酒は一滴も飲まず、客のテーブルにお酌をして回る際の「乾杯」もミルクティーで通したという。
北京市大興区亦荘(えきそう)鎮の大族広場で、アイスクリームとタピオカドリンクを手に散策する人。(資料写真、北京=新華社記者/彭子洋)
ドリンクチェーンのマーケティングも新式ティードリンクのブライダル市場での流行を後押ししている。「喜茶(HEYTEA)」は、中国で祝い事に欠かせない「喜」の文字が店名に入っている強みを生かし、2022年からブライダル向け割引サービスを開始した。消費者の反応も良好で、喜が二つ並んだ「囍」のマークの入った同社の商品を婚礼の場で目にする機会がますます増えている。
「覇王茶姫(CHAGEE)」「茶百道(Cha Panda)」「茶話弄」などのチェーンも、披露宴を含めた各種の団体向けサービスを次々と打ち出している。うち霸王茶姫は1~9月、披露宴やパーティー、職場の祝賀会など団体向けにティードリンクを約150万杯提供。国慶節連休期間(10月1~7日)のグループ注文は前年同期比4倍近くに増加した。
「ブライダル市場への進出は、新式ティードリンクの消費シーンがさらに拡大し、あらゆるシーンへと広がっていることを示している」。広東省食品安全保障促進会の朱丹蓬(しゅ・たんほう)副会長はそう指摘する。大手チェーンは披露宴だけでなく卒業祝いや入学祝い、企業の食事会などより多くのシーンへとこぞってサービスを広げている。各地の若い消費者も新式ティードリンクで友人との集まりや披露宴を楽しみ、記念日を祝う習慣を形成しつつある。(記者/楊珏)