中国(上海)国際楽器展覧会の会場。(上海=新華社記者/呉宇)
【新華社上海10月14日】アジア最大級の楽器見本市「中国(上海)国際楽器展覧会(ミュージック・チャイナ)」が10~13日にかけて、中国上海市で開かれた。中国の楽器市場はここ数年、深刻な調整局面が続いているが、今年に入ってからは穏やかな回復の兆しが見え、安定した回復軌道に乗る見込みである。
中国楽器協会のデータによると、今年1~7月の中国の一定規模(主要業務の年間売上高2千万元、1元=約21円)以上の楽器企業233社の主要業務売上高は前年同期比0・9%増、利益総額は32・4%増となり、特に電子楽器と管楽器の売れ行きが好調だった。輸出額は14・1%増え、地域別では東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが50・3%増、「一帯一路」共同建設国向けが29・2%増、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定参加国向けが25・1%増、欧州連合(EU)向けが12・5%増となった。
中国(上海)国際楽器展覧会の会場。(上海=新華社記者/呉宇)
中国楽器協会の王世成(おう・せいせい)理事長は、足元の中国楽器市場には成長鈍化や需要低迷、構造的矛盾の深刻化などの問題が今なお存在するものの、安定の中で回復が続くことは必然の流れになっているとし、楽器は中国の家庭の必需品となり、音楽は人々の生活に欠かせない存在になりつつあるとの見解を示した。
王氏によると、ここ数年、中国の従来型の音楽教育機関には大幅な規模縮小がみられるが、電子商取引(EC)やショート動画などニューメディアのプラットフォームが急速に発展し、楽器販売と音楽教育の新たなプラットフォームとなっている。
中国楽器協会の推計では、23年の中国の音楽教育に関する総売上高約1600億元のうち、オンライン音楽教育の売上高は600億元で全体の4割に迫る。
今年のミュージック・チャイナは展示面積が15万平方メートル近く、26カ国・地域の企業1840社が出展した。昨年から続く回復の勢いを保ち、足元の中国楽器市場が穏やかに回復していることも裏付けた。(記者/呉宇)