文化財修復師の心と技でよみがえる2千年前の中国玉器

文化財修復師の心と技でよみがえる2千年前の中国玉器

新華社 | 2024-09-24 19:28:40

  【新華社南昌9月24日】中国の玉器は漢代に最も発展した。「君子は玉において徳を比す」という君子の徳を玉に例えた儒家の思想の下、貴族階級は玉器を儀礼に用いる礼器としてだけでなく、日常の器物にも用いた。

   江西省南昌市にある漢代諸侯の墓、海昏(かいこん)侯劉賀墓からは、主棺だけで40点(組)余り、全体で400点(組)を超える玉器が見つかり、前漢中後期の玉器の彫刻技術、装飾様式、使用制度を理解する上での貴重な実物資料となった。

   劉賀墓の椁室(かくしつ=ひつぎを納めた部屋)にあった大型玉器は、椁室が倒壊したこともあり出土時には多くが破損し、60以上の破片に砕けていたものもあったが、南京博物院(江蘇省南京市)の文化財修復師が巧みな技術でよみがえらせた。

   玉器の科学的修復はプロセスが確立されている。情報収集に始まり、破片のラベリング、撮影、分析や残留物の取り出し、保存などを経て、洗浄剤や接着剤、顔料などを分析結果に基づき個別に調合する。試験と分析、比較の繰り返しで苦労を伴うが、やりがいもある。

   同博物院の田建花(でん・けんか)副研究員は、玉器の考古学的修復は無傷を追求する商業的な修復と異なると指摘。介入を最小限にとどめて「病巣」を除去し、文化財の完全性を取り戻す必要があるが、過度な美観の追求により文化財の真実性に影響を与えてはならないと説明した。

   玉器の破片の縁に染みや石灰化が見られても洗浄で徹底的に取り除くことはないという。石灰化部分の玉質構造は既に劣化し、また染みも深部に達しているので、徹底的な洗浄は文化財そのものを傷めてしまう可能性がある。

   円盤状の玉器「玉璧」の欠損部分の修復には、型取りや補填、研磨、彫刻、着色(質感の復元)などの工程がある。着色時は最小限の関与が重要になり、塗装範囲を可能な限り小さくして文化財の質感を損なわないようにする必要がある。

   文化財の「整形手術」の成功は、文化財修復師の性質や材料、色、模様などに対する正確な理解と幾多の試行錯誤のたまものといえる。彼らは将来、現代科学技術による微量元素や表面残留物の分析を通じて玉器原料の産地や被葬者の衣服、埋葬習慣などに対する問題の答えを模索し、より多くの価値ある情報を解明するだろう。(記者/袁慧晶、譚茜予)

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