中国の科学者、バイオニック3D構造を持つ電子皮膚を開発

中国の科学者、バイオニック3D構造を持つ電子皮膚を開発

新華社 | 2024-06-06 09:15:23

   人の手と触れ合うバイオニック3D電子皮膚を備えたロボットハンド。(北京=新華社配信)

   【新華社北京6月6日】中国清華大学航天航空学院柔性電子技術実験室の張一慧(ちょう・いつけい)教授が率いる研究グループがこのほど、バイオニック3次元(3D)構造を備えた新しいタイプの電子皮膚システムを世界で初めて開発した。物理レベルで、圧力と摩擦力、ひずみの3種類の力学的信号を同時に解読および感知することができ、圧力位置の知覚解像度は約0・1ミリで、実際の皮膚に近い。研究成果はこのほど、国際学術誌「サイエンス」に掲載された。

   張氏は、皮膚が力学的信号を敏感に感知できるのは、内部に多くの高密度に配列され、3D空間分布を備えた触覚受容細胞があり、それが外部刺激を正確に感知するからだと説明。電子皮膚の研究開発において、圧力と摩擦力、ひずみの信号を同時に識別して解読し、正確な触覚感知を実現するのは非常に難度の高い課題だという。

   研究チームは、初めて3D構造を持つ電子皮膚の設計概念を打ち出した。開発したバイオニック3D電子皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」で構成され、各部位の質感は人体の皮膚の対応する層に近い。センサーと電気回路は皮膚の深部と浅部に分布しており、一部のセンサーはより皮膚の表面に近く、外部の力の作用に対する感度が非常に高い。皮膚の深部に分布するセンサーは、皮膚の変形に対してより感度が高い。

   レモンに触れてその硬さを感知するバイオニック3D電子皮膚。(北京=新華社配信)

   張氏は「例えば、人差し指の指先サイズの電子皮膚内には240個の金属センサーがある。これらのセンサーはそれぞれわずか200~300ミクロンであり、その空間分布は人体の皮膚内の触覚受容細胞の分布に近い」と述べ、電子皮膚が外部の物体に触れると、皮膚内部の多くのセンサーが協調して作用すると説明した。センサーによって収集された信号は、一連の送信および抽出プロセスを経て、ディープラーニング(深層学習)のアルゴリズムと結合され、電子皮膚は物体の硬さや柔らかさ、形状を正確に感知できる。

   張氏はまた、「電子皮膚は人の皮膚の知覚機能を模倣した新しいタイプのセンサーで、将来的には医療ロボットの指先に取り付けて早期診断・治療を行うほか、ばんそうこうのように人の皮膚に貼り、血中の酸素飽和度や心拍数などの健康データをリアルタイムでチェックすることができる」と話し、このバイオニック3D電子皮膚は電子皮膚の開発と応用に新たな道筋を提供し、産業用ロボットや生物学的検査、バイオメディカル、ヒューマン・コンピューター・インタラクション(HCI)など多方面にわたる幅広い応用の可能性があるとの認識を示した。

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