「四季村晩」の会場で行われた文芸公演。(8月12日撮影、昆明=新華社配信)
【新華社北京9月22日】中国ではここ数年、都市部の専売特許と思われがちだった文化・スポーツイベントが農村で盛んに行われ、知名度を上げて地域活性化の新たなけん引役になりつつある。
重慶市石柱トゥチャ族自治県の「村晚」で演奏する西南大学音楽学院の学生。(資料写真、重慶=新華社配信)
中国文化・観光部は今年3月、ここ数年人気が高まっている農村の芸能イベント「村晩」を新たな発展段階へ押し上げるべく、「四季村晩」開催決定の通知を出した。多様なニーズに対応するため、各地に質の高い観光コースを設定し、夜間の活動を充実させるなど消費促進の取り組みを続けている。
雲南省の麗江古城で始まった一連の催しでは、文芸公演に加え「省産品マーケット」「麗江古城文化芸術ツアー」「農村レジャー体験シーズン」などを実施し、地元の特産品や無形文化遺産などを多角的に紹介している。
全国和美郷村バスケットボール大会開幕戦の会場でミャオ族の舞踊「反排木鼓舞」を披露する出演者。(6月20日撮影、台江=新華社記者/陶亮)
貴州省黔東南(けんとうなん)ミャオ族トン族自治州台盤郷の台盤村では昨年以降、ミャオ族の伝統的祝日に行われていた大会に由来する農村バスケットボールが大きな話題となっている。今年3月末の第1回「美しい農村」バスケリーグ決勝は、わずか3日間で観光客延べ18万1900人と5516万元(1元=約20円)の収入を郷内に呼び込んだ。「全国和美郷村バスケットボール大会」が開幕した6月20日には郷全体の観光収入が3500万元を超えた。地元特産の農産物や民族衣装、手工芸品などの売り上げも伸びている。熱気あふれる会場の雰囲気は他地域から来た観客にも好評で、高速鉄道で省都・貴陽市から観戦に訪れた劉さんは「最高に盛り上がれるので、本当にお薦め。会場の熱気と村の人たちの温かさは、行ってみなければ分からない」と語った。
大勢の観客が集まった全国和美郷村バスケットボール大会の開幕戦。(6月20日、小型無人機から、台江=新華社記者/陶亮)
同自治州榕江県では「村超」と呼ばれるサッカーリーグの試合が人気を集める。地元の20チームが優勝を争う貴州榕江(三宝トン寨)和美郷村サッカー・スーパーリーグは5月13日の試合開始から7月29日の決勝まで、延べ100万人以上が会場で観戦し、5千万人以上がネット中継を見守った。会場では無形文化遺産も花を添え、トン族の民族歌謡「トン族大歌」の抑揚のある歌声やミャオ族女性による踊りなどが観客を魅了した。週末には数万人の観客が県内に押し寄せ、食事や宿泊、移動、観光のニーズが小さな街に発展の機会をもたらした。北京で9月2日に開かれた中国国際サービス貿易交易会(CIFTIS)の関連イベントで、貴州省の「村超」はイングランド・プレミアリーグと戦略的協力協定を締結した。決勝が終わっても、新たな物語は続いている。
貴州省の「村超」を観戦する人々。(7月15日、小型無人機から、榕江=新華社記者/楊文斌)
海南省では「村VA」と呼ばれるバレーボール大会がたちまち評判になった。海南(文昌)郷鎮バレーボールリーグは8月13日夜、1カ月半にわたる熱戦を終えて閉幕した。出場した地元20チームに所属する選手は15~59歳で、多くが仕事を持つ。期間中は椅子でボールを打つ試合や人形劇、伝統演劇なども披露され、注目を集めた。会場周辺にはブランド鳥の文昌鶏や椰子鶏(鶏肉のココナツウオーター煮込み)など特産品を販売する市が立ち、多くの人でにぎわった。文昌市文化・観光局によると、大会が始まった6月30日から閉幕までに延べ48万5800人の観客を受け入れ、観光収入は2億8千万元に上った。
貴州省で行われた「村超」の試合会場で、太鼓をたたいて応援する子ども。(6月9日撮影、榕江=新華社記者/楊文斌)
芸術鑑賞やスポーツ観戦を目当てに農村へ行くことは、新時代のトレンドになりつつある。村の行事は住民の活気ある生活を反映しており、自然発生的に生まれ、独自性を高めてきた文化・スポーツイベントが流行に乗って広く知られるようになった。競技と人情、郷愁が魅力となり、地域振興につながる新たな道を築いている。(記者/彭純、楊珏)
貴州省で行われた「村超」の試合会場で、携帯電話の明かりをかざして盛り上がる観客。(6月10日撮影、榕江=新華社記者/楊文斌)
海南省文昌市で行われた「村VA」の決勝。(8月13日撮影、文昌=新華社記者/蒲暁旭)
海南省文昌市で行われた「村VA」の決勝前に、ココナツをイメージした衣装を着て踊るチアリーダー。(8月13日撮影、文昌=新華社記者/蒲暁旭)