【新華社北京7月5日】中国外交部の報道官は4日、国際原子力機関(IAEA)が東京電力福島第1原発の放射能汚染水の海洋放出計画を巡る包括報告書で、全体として国際安全基準に適合するとの認識を示し、放出後も長期的に監督・モニタリングを続けるとしたことについてコメントを求められ、次のように述べた。
中国は、IAEAが日本の放射能汚染水の海洋放出計画について公表した包括報告書に留意している。われわれの知る限りでは、報告書には評価に参画した各専門家の意見が十分に反映されておらず、関連の結論は各専門家の一致した承認を得ていない。中国はIAEAの報告書が性急に公表されたことに遺憾の意を表す。
われわれは報告書が日本の海洋放出の「護身符」や「通行証」にはなり得ないと考えている。IAEAは権限に制限があるため、日本の海洋放出計画の適法性を審査しておらず、日本の浄化装置の長期的な有効性も評価しておらず、日本の放射能汚染水データの信頼性や精度も確証していない。関連の結論には比較的大きな限界性と一面性が存在する。われわれはグロッシ事務局長が、日本政府の要請に応じてIAEAが審査・評価を実施することは日本の海洋放出の裏書きでは決してないと述べたことに留意している。
日本は経済的コストへの考慮から、国際社会の懸念と反対を顧みず、放射能汚染水の海洋放出に固執し、太平洋を「下水道」にしようとしている。報告書の内容がどうであれ、日本が今後30年間、百万トン以上の福島の放射能汚染水を太平洋に放出し続けることは変えられない。日本の浄化装置は長期的な有効性を維持できるのか。国際社会は基準超過の放出を迅速に把握できるのか。放射性核種の長期的な蓄積と濃縮は海洋の生態環境や食品安全、公衆の健康にどのような影響をもたらすのか。IAEAの報告書には、これらの問題に対する答えは一切なかった。
12年前、日本は福島原発事故で世界中から支援を受けた。12年後、日本は放射能汚染のリスクを全人類に転嫁することを選んだ。国連海洋法条約は海洋環境の保護・保全を義務付けており、1972年に採択されたロンドン条約は海上人工構造物を通じた放射性廃棄物の海洋投棄を禁止している。日本のやり方は国際的な道義・責任と国際法の義務に違反している。
中国は日本が放射能汚染水の海洋放出計画を停止し、科学的かつ安全で、透明性の高い方法で処理するよう改めて促す。日本が独断専行するなら、全ての責任は日本が負わなければならない。中国は日本がIAEAに協力し、日本の隣国など利害関係者が参画する長期的で国際的なモニタリングメカニズムを早急に構築するよう促す。