台湾の「阿嬷」たちの悲しみ 誰が歴史の傷を癒すのか

台湾の「阿嬷」たちの悲しみ 誰が歴史の傷を癒すのか

新華社 | 2022-08-17 09:15:10 | 編集: 楊珏

   【新華社台北8月17日】中国台湾地区台北市の旧市街にある地味な古い民家の5階に上がると、台湾の「慰安婦」記念館「阿嬷(アマ・おばあちゃん)の家」が見えてくる。この小さな記念館は、台湾初で唯一の「慰安婦」記念館であり、台湾ですでに分かっている59人の「慰安婦」の歴史的資料を保存している。

   館内には、台湾の「慰安婦」の口述資料や写真、ビデオ、書籍などの資料5042点のほか、「慰安婦」関連の権利運動と「慰安婦」個人の持ち物など関連の物品計730点が展示されている。

   この記念館を運営する台北市婦女救援基金会(以下、婦援会)は、長年にわたり「慰安婦」被害者の救援活動に取り組んできた。生き残った台湾の「慰安婦」たちを「阿嬷」と呼ぶのは二つの理由がある。一つは1990年代に台湾の「慰安婦」の史実が明るみに出た時、これらの生存者はすでに60~70才になっており、台湾社会ではこの年代の女性を「阿嬷」と呼ぶ。もう一つは、彼女たちが日本の軍国主義の犠牲者であると同時に、普通の台湾の「阿嬷」であって、往時の台湾女性の優しくたくましい特質を備えていることを、一般の人々に思い起こしてもらいたいと婦援会が考えていた。

   婦援会の推計によると、第2次世界大戦中、台湾には2千人ほどの「慰安婦」被害者がいたが、最終的に名乗り出て証言することを望んだのはわずか59人だった。

   「阿嬷の家」は2020年12月、同年11月初めに100歳近い高齢の「慰安婦」が病死したと発表。これで、台湾で知られる「慰安婦」の生存者はたった1人となった。

   日本政府は今日まで、「慰安婦」問題について世界と被害者に対し深い反省や謝罪を示さず、「慰安婦」問題における国家の責任を認めることもなく、常に「強制性」を否定し、歴史の真実をもみ消そうと画策し、侵略の歴史を否定、美化しようとしている。

   2000年から台湾「慰安婦」の写真を撮り続けている写真家の黄子明(こう・しめい)氏は、日本政府が依然として先延ばしを図り、「当事者が全員死去するまで何年も先送りし、さらに数世代を経れば、この問題を取り上げる者もいなくなるかもしれない」ことを期待しているとみている。

   8月14日の世界日本軍「慰安婦」メモリアル・デーに際し、婦援会は記者会見を開き、台湾の各界に対し、「慰安婦」の痛ましい記憶を重んじ、この歴史を歴史記念館や学校のカリキュラム、一般向けの書籍に盛り込むよう呼び掛けた。(記者/斉湘輝、岳夕彤)

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