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四川省、全省規模の古代石刻調査実施へ
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-08-08 08:34:10 | 新華社 | 編集: 王珊寧

  【新華社成都8月8日】中国四川省眉山市洪雅県で6日、同省が実施する石刻採拓専門人員技術養成コースが開講し、省内の古代石刻調査と整理プロジェクトが正式にスタートした。

 プロジェクトは、同省が古代石刻に対し初めて全面的な調査や整理、記録研究などの系統的な作業を行うもので、3年以内に省内約5万カ所の石刻の調査と採拓を完了し「石に刻まれた史書」の保全を目指す。

 四川省は悠久の歴史と文化を誇り、文化財の種類が豊富で数量も多い。2007~2011年に行われた第3回全国文化財一斉調査(第三次全国文物普査)によると、同省の不可動文化財は6万5213カ所で、全国で3番目に多かった。大量の古代石刻は文化財の重要な一部となっている。

 四川省文物考古研究院の姚軍副院長は次のように説明した。省内の古代石刻は約5万カ所に及び、その数は全国で1番多い。これらの石刻は21の市と州、183の県、市、区に広範囲に分布し、作られた年代は漢代から明・清代を経て中華民国期までの2千年近くに及ぶ。調査の対象には▽崖に刻まれた墓題記や漢代の石闕(宮殿や墓陵に建てられ石柱)に彫られた文字▽仏教や道教の寺院、書院(地方の学問所)、会館(集会所)、民間の祠堂、橋梁など古い建築物や建造物を補修した際に建てられた石碑文▽蜀道(陝西省や甘粛省と四川省を結ぶ桟道)や川塩古道(四川省の塩を省外へ運んだ道)などで道や橋を補修した際に建てられた石碑文▽石窟の仏像造営の際の石碑文-などが含まれる。文人が名所旧跡で残した大量の題詠などもある。

 これらの石碑文は価値の高い「史書」と言える。中には全国でも他に例を見ない石刻もある。安岳臥仏院の唐代刻経窟は石窟全体に経文が刻まれ国内外の学者の注目を集めた。広元市蒼渓県の尋楽書岩の摩崖石刻は、清代のもとしては中国西南地区で最大かつ非常に珍しい洞窟内摩崖書法の宝庫であり、郷紳文化の名残といえる。このほか、明・清代の祠堂宗族碑には宗族族譜や地方の決まりや民間の約束事などが書かれており、その数も全国で最も多い。これらの石碑文は歴史的価値以外にも書道芸術としての価値も高く、巴蜀(四川地方の異称)書法の持つ独特のスタイルと民間文化が伺える。

 ただ、これらの古代石刻は風化や雨水による浸食、人為的な破壊などにより、内容が不完全なものも多く、中にはすでに消失してしまったものもある。古代石刻の調査と整理は、祖先が後世に残した財産を守ることに他ならない。

 重大な事件と関連性の高くない石刻の多くはこれまで顧みられることがなかったと指摘する姚氏は「こうした石刻文字こそ、郷土史や地方の風土と人情、地方芸術を研究する上で重要な価値を持つ」と語る。古代石刻に残された記述の多くは世に伝わる文献に記載されておらず、地方誌などの地方文献でも探すことのできない歴史を補う重要な材料なのだという。

 今回の古代石刻の調査と整理は3年を見込む。石刻の撮影や録画、番号整理、採拓などの基本作業の外、重要な石刻については3Dスキャンなども行う。資料収集後は8~10回のテーマ展を行い、10~15篇の調査リポートまたは研究論文としてまとめる。最終的には大型古代石刻集を完成させる。

 

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四川省、全省規模の古代石刻調査実施へ

新華網日本語 2018-08-08 08:34:10

  【新華社成都8月8日】中国四川省眉山市洪雅県で6日、同省が実施する石刻採拓専門人員技術養成コースが開講し、省内の古代石刻調査と整理プロジェクトが正式にスタートした。

 プロジェクトは、同省が古代石刻に対し初めて全面的な調査や整理、記録研究などの系統的な作業を行うもので、3年以内に省内約5万カ所の石刻の調査と採拓を完了し「石に刻まれた史書」の保全を目指す。

 四川省は悠久の歴史と文化を誇り、文化財の種類が豊富で数量も多い。2007~2011年に行われた第3回全国文化財一斉調査(第三次全国文物普査)によると、同省の不可動文化財は6万5213カ所で、全国で3番目に多かった。大量の古代石刻は文化財の重要な一部となっている。

 四川省文物考古研究院の姚軍副院長は次のように説明した。省内の古代石刻は約5万カ所に及び、その数は全国で1番多い。これらの石刻は21の市と州、183の県、市、区に広範囲に分布し、作られた年代は漢代から明・清代を経て中華民国期までの2千年近くに及ぶ。調査の対象には▽崖に刻まれた墓題記や漢代の石闕(宮殿や墓陵に建てられ石柱)に彫られた文字▽仏教や道教の寺院、書院(地方の学問所)、会館(集会所)、民間の祠堂、橋梁など古い建築物や建造物を補修した際に建てられた石碑文▽蜀道(陝西省や甘粛省と四川省を結ぶ桟道)や川塩古道(四川省の塩を省外へ運んだ道)などで道や橋を補修した際に建てられた石碑文▽石窟の仏像造営の際の石碑文-などが含まれる。文人が名所旧跡で残した大量の題詠などもある。

 これらの石碑文は価値の高い「史書」と言える。中には全国でも他に例を見ない石刻もある。安岳臥仏院の唐代刻経窟は石窟全体に経文が刻まれ国内外の学者の注目を集めた。広元市蒼渓県の尋楽書岩の摩崖石刻は、清代のもとしては中国西南地区で最大かつ非常に珍しい洞窟内摩崖書法の宝庫であり、郷紳文化の名残といえる。このほか、明・清代の祠堂宗族碑には宗族族譜や地方の決まりや民間の約束事などが書かれており、その数も全国で最も多い。これらの石碑文は歴史的価値以外にも書道芸術としての価値も高く、巴蜀(四川地方の異称)書法の持つ独特のスタイルと民間文化が伺える。

 ただ、これらの古代石刻は風化や雨水による浸食、人為的な破壊などにより、内容が不完全なものも多く、中にはすでに消失してしまったものもある。古代石刻の調査と整理は、祖先が後世に残した財産を守ることに他ならない。

 重大な事件と関連性の高くない石刻の多くはこれまで顧みられることがなかったと指摘する姚氏は「こうした石刻文字こそ、郷土史や地方の風土と人情、地方芸術を研究する上で重要な価値を持つ」と語る。古代石刻に残された記述の多くは世に伝わる文献に記載されておらず、地方誌などの地方文献でも探すことのできない歴史を補う重要な材料なのだという。

 今回の古代石刻の調査と整理は3年を見込む。石刻の撮影や録画、番号整理、採拓などの基本作業の外、重要な石刻については3Dスキャンなども行う。資料収集後は8~10回のテーマ展を行い、10~15篇の調査リポートまたは研究論文としてまとめる。最終的には大型古代石刻集を完成させる。

 

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