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なぜ米国人までトランプ政権の貿易政策に「ノー」と言うのか
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-07-04 16:36:35 | 新華社 | 編集: 王珊寧

  【新華社ワシントン7月4日】米オートバイメーカーのハーレーダビッドソンはこのほど、一部の生産拠点を海外に移すと発表し、米自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)は関税追徴が同社の業務縮小や雇用削減を招くだろうと警告した。欧州連合(EU)、カナダ、メキシコ、インド、トルコなどの経済体も米国製品に対する報復関税を発表している。トランプ政権による貿易「いじめ」政策は今、米国の企業と消費者を最初の被害者にしており、国内製造業の復興と雇用の保護という当初の目的とは遠くかけ離れている。経済がグローバル化し、産業チェーンが国際化する21世紀において、関税追徴と貿易的脅迫を特徴とする時代遅れの保護主義の手法は、他国に損害を与えるだけでなく、自国の利益にもならず、ますます通用しなくなっている。

  まず、輸入製品の関税引き上げは米国内の産業を保護できないばかりか、むしろ米国の企業と消費者に過度に高い関税のコストのための支払いをさせることになる。全米商工会議所などの経済団体は米国政府に対し、関税引き上げは米国の企業と消費者に対する「徴税」であり、世界のサプライチェーンを混乱させ、原材料や部品を輸入に依存している米国企業の生産コストを引き上げ、米国の製造業者や輸出業者の競争力を損なうと何度も警告してきた。サラリーマン層を含む米国の消費者も、輸入商品をより高い価格で購入せざるを得なくなり、日常生活の支出が増えるとともに、米国国内のインフレのリスクも高まる可能性がある。

  次に、米国の関税引き上げ措置は主要な貿易パートナーの報復を受けており、米国企業、農場経営者、消費者がさらなる損失を被ることになる。全米貿易評議会(NFTC)の統計によると、現在米国の主要な貿易パートナーはすでに、米国の輸出製品に対して計約900億米ドル(1ドル=約111円)の関税を課す準備をしている。これらの報復措置は米国の輸出業者の利益をさらに損ない、米国の数百万人の雇用が脅威にさらされ、米国全体の経済を損なうだろう。

  米国のオートバイに対するEUの報復関税を回避するため、米国の製造業を代表するハーレーダビッドソンはこのほど、一部のオートバイ生産拠点を海外に移すとの発表を迫られた。ワシントンのシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所のシニア・フェローであるチャド・バウン氏は、欧州企業と比べ、ハーレーダビッドソンなどの米国企業は三重の打撃を被っていると指摘する。すなわち、米国の鉄鋼・アルミ関税がもたらすより高い生産コスト、その他の貿易パートナーによる米国への報復関税がもたらす重い負担、EUと日本などが締結した新しい自由貿易協定によって欧州企業が獲得したさらなる優遇関税待遇である。同氏は、多くの米国企業が一部工場を海外に移転させるハーレーダビッドソンの方法に倣うだろうと予測している。これは正に「まずい貿易政策」の代償である。

  経済のグローバル化、産業チェーンの国際化という背景の下、関税引き上げに依存した国内産業と雇用の保護は一方的な願望に過ぎない。米国の戦略国際問題研究所(CSIS)の貿易専門家であるウィリアム・レインシュ氏が述べているように、現在の国際貿易は国家間のウィンウィン協力であり、ゼロサムゲームではない。米国の現行の貿易政策は17、18世紀の重商主義政策の延長のようであり、21世紀のグローバル化経済の現実に即していない。米国の消費者、労働者及び製造業を支援する最良の方法は新市場を開拓し、関税と貿易の障壁を引き下げることであり、自己の市場の囲いを固め、壁を高くすることではない。

 

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なぜ米国人までトランプ政権の貿易政策に「ノー」と言うのか

新華網日本語 2018-07-04 16:36:35

  【新華社ワシントン7月4日】米オートバイメーカーのハーレーダビッドソンはこのほど、一部の生産拠点を海外に移すと発表し、米自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)は関税追徴が同社の業務縮小や雇用削減を招くだろうと警告した。欧州連合(EU)、カナダ、メキシコ、インド、トルコなどの経済体も米国製品に対する報復関税を発表している。トランプ政権による貿易「いじめ」政策は今、米国の企業と消費者を最初の被害者にしており、国内製造業の復興と雇用の保護という当初の目的とは遠くかけ離れている。経済がグローバル化し、産業チェーンが国際化する21世紀において、関税追徴と貿易的脅迫を特徴とする時代遅れの保護主義の手法は、他国に損害を与えるだけでなく、自国の利益にもならず、ますます通用しなくなっている。

  まず、輸入製品の関税引き上げは米国内の産業を保護できないばかりか、むしろ米国の企業と消費者に過度に高い関税のコストのための支払いをさせることになる。全米商工会議所などの経済団体は米国政府に対し、関税引き上げは米国の企業と消費者に対する「徴税」であり、世界のサプライチェーンを混乱させ、原材料や部品を輸入に依存している米国企業の生産コストを引き上げ、米国の製造業者や輸出業者の競争力を損なうと何度も警告してきた。サラリーマン層を含む米国の消費者も、輸入商品をより高い価格で購入せざるを得なくなり、日常生活の支出が増えるとともに、米国国内のインフレのリスクも高まる可能性がある。

  次に、米国の関税引き上げ措置は主要な貿易パートナーの報復を受けており、米国企業、農場経営者、消費者がさらなる損失を被ることになる。全米貿易評議会(NFTC)の統計によると、現在米国の主要な貿易パートナーはすでに、米国の輸出製品に対して計約900億米ドル(1ドル=約111円)の関税を課す準備をしている。これらの報復措置は米国の輸出業者の利益をさらに損ない、米国の数百万人の雇用が脅威にさらされ、米国全体の経済を損なうだろう。

  米国のオートバイに対するEUの報復関税を回避するため、米国の製造業を代表するハーレーダビッドソンはこのほど、一部のオートバイ生産拠点を海外に移すとの発表を迫られた。ワシントンのシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所のシニア・フェローであるチャド・バウン氏は、欧州企業と比べ、ハーレーダビッドソンなどの米国企業は三重の打撃を被っていると指摘する。すなわち、米国の鉄鋼・アルミ関税がもたらすより高い生産コスト、その他の貿易パートナーによる米国への報復関税がもたらす重い負担、EUと日本などが締結した新しい自由貿易協定によって欧州企業が獲得したさらなる優遇関税待遇である。同氏は、多くの米国企業が一部工場を海外に移転させるハーレーダビッドソンの方法に倣うだろうと予測している。これは正に「まずい貿易政策」の代償である。

  経済のグローバル化、産業チェーンの国際化という背景の下、関税引き上げに依存した国内産業と雇用の保護は一方的な願望に過ぎない。米国の戦略国際問題研究所(CSIS)の貿易専門家であるウィリアム・レインシュ氏が述べているように、現在の国際貿易は国家間のウィンウィン協力であり、ゼロサムゲームではない。米国の現行の貿易政策は17、18世紀の重商主義政策の延長のようであり、21世紀のグローバル化経済の現実に即していない。米国の消費者、労働者及び製造業を支援する最良の方法は新市場を開拓し、関税と貿易の障壁を引き下げることであり、自己の市場の囲いを固め、壁を高くすることではない。

 

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