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生産専念から体験重視へ―日本の製造業が時代の変化に対応
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-04-24 13:36:12 | 新華社 | 編集: 王珊寧

  【新華社東京4月24日】日本語の「モノづくり」という言葉には「商品製造」という文字通りの意味だけでなく、日本企業の職人魂など多くの意味が含まれている。現在、日本の消費嗜好が物質的欲求の充足からサービスの享受へと徐々に移行しているのを受け、製造業も生産専念型の「モノづくり」から、体験を重視する「コトづくり」へとシフトしつつある。

  日本では第2次世界大戦後、各家庭がこぞって冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビの「三種の神器」を求めるブームが起こった。高度経済成長期にはカラーテレビ・エアコン・自動車が新たな人気商品となった。人々は当時、商品や機能的価値を備えたサービスの消費に重点を置いていた。

  だが、これらの商品が十分に普及した今では、消費者は機能的価値だけの商品への関心を失いつつある。大手広告代理店であるジェイアール東日本企画の調査では、全体の52・1%が「家の中にはものが溢れており、これ以上家財を増やしたくない」と考えている。

  物欲が消えつつある一方、人々が経験や体験を重視する度合いは高まり続けている。

  市場調査会社のGfKの調査では、全年齢層で「商品を所有するより体験するほうがより重要」と考える人の数が、そう思わない人の数を大きく上回った。また、50歳以下では「お金があるより時間があるほうが良い」と考える人がそう思わない人より多かった。

  こうした状況を背景に、経験や体験を提供するサービスの人気が高まっている。例えば▽プロの指導の下、結婚指輪を自分で作る▽食材を購入する時に、店で開催される料理教室に参加する▽レストランで魚料理を食べる時にまず魚を釣り、その魚の調理を料理人に頼む―などだ。

  日本の消費者だけでなく、訪日外国人の消費嗜好にも同様の変化が見られる。観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査によると、2016年第4四半期の訪日外国人のうち、リピーターは61・6%に上り、うち14・3%は訪日回数が10回以上となっている。

  大量のリピーターが訪日する目的はもはや「爆買い」ではない。温泉や着物・茶道体験、美術館・博物館巡り、日本の伝統芸能である歌舞伎鑑賞など、彼らはより豊かな体験を求めている。

  国内の人々や訪日客の消費における価値観の全体的な変化に伴い、日本企業はこれまでの生産に専念するというやり方を改める必要性に迫られている。

  日本最大手のボート製造企業で、国内ボート市場で約60%のシェアを占めるヤマハ発動機マリン事業本部の南成記氏によると、同社が2006年に設立したマリンクラブの会員数は増え続け、2017年には2万2千人に達した。このクラブの会員になると、国内約140カ所と海外2カ所の同社拠点でボートを借り、海上で風に乗り波を越える興奮が楽しめる。

  同社で広報を担当する堀江直人氏は、人々の消費スタイルの変化に伴い「モノ」消費にとどまらず「コト」消費を重視する人々がますます増えていると指摘。同社でも従来のボート製造のみならず、マリンクラブを通してボートシェアリング事業を行い、体験重視の消費動向に対応していると説明した。

 

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生産専念から体験重視へ―日本の製造業が時代の変化に対応

新華網日本語 2018-04-24 13:36:12

  【新華社東京4月24日】日本語の「モノづくり」という言葉には「商品製造」という文字通りの意味だけでなく、日本企業の職人魂など多くの意味が含まれている。現在、日本の消費嗜好が物質的欲求の充足からサービスの享受へと徐々に移行しているのを受け、製造業も生産専念型の「モノづくり」から、体験を重視する「コトづくり」へとシフトしつつある。

  日本では第2次世界大戦後、各家庭がこぞって冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビの「三種の神器」を求めるブームが起こった。高度経済成長期にはカラーテレビ・エアコン・自動車が新たな人気商品となった。人々は当時、商品や機能的価値を備えたサービスの消費に重点を置いていた。

  だが、これらの商品が十分に普及した今では、消費者は機能的価値だけの商品への関心を失いつつある。大手広告代理店であるジェイアール東日本企画の調査では、全体の52・1%が「家の中にはものが溢れており、これ以上家財を増やしたくない」と考えている。

  物欲が消えつつある一方、人々が経験や体験を重視する度合いは高まり続けている。

  市場調査会社のGfKの調査では、全年齢層で「商品を所有するより体験するほうがより重要」と考える人の数が、そう思わない人の数を大きく上回った。また、50歳以下では「お金があるより時間があるほうが良い」と考える人がそう思わない人より多かった。

  こうした状況を背景に、経験や体験を提供するサービスの人気が高まっている。例えば▽プロの指導の下、結婚指輪を自分で作る▽食材を購入する時に、店で開催される料理教室に参加する▽レストランで魚料理を食べる時にまず魚を釣り、その魚の調理を料理人に頼む―などだ。

  日本の消費者だけでなく、訪日外国人の消費嗜好にも同様の変化が見られる。観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査によると、2016年第4四半期の訪日外国人のうち、リピーターは61・6%に上り、うち14・3%は訪日回数が10回以上となっている。

  大量のリピーターが訪日する目的はもはや「爆買い」ではない。温泉や着物・茶道体験、美術館・博物館巡り、日本の伝統芸能である歌舞伎鑑賞など、彼らはより豊かな体験を求めている。

  国内の人々や訪日客の消費における価値観の全体的な変化に伴い、日本企業はこれまでの生産に専念するというやり方を改める必要性に迫られている。

  日本最大手のボート製造企業で、国内ボート市場で約60%のシェアを占めるヤマハ発動機マリン事業本部の南成記氏によると、同社が2006年に設立したマリンクラブの会員数は増え続け、2017年には2万2千人に達した。このクラブの会員になると、国内約140カ所と海外2カ所の同社拠点でボートを借り、海上で風に乗り波を越える興奮が楽しめる。

  同社で広報を担当する堀江直人氏は、人々の消費スタイルの変化に伴い「モノ」消費にとどまらず「コト」消費を重視する人々がますます増えていると指摘。同社でも従来のボート製造のみならず、マリンクラブを通してボートシェアリング事業を行い、体験重視の消費動向に対応していると説明した。

 

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