しかしよくわからないのが米国である。中国に対して「国際公共財を提供しろ」「国際的な責任を負え」と迫りながら、中国がその通りに行動しようとすると、それを真っ先に阻止しようとする。
なぜこんな矛盾が起きるのだろうか――。米国が自分の「公共自動車」を持っているからだ、という見方がある。国際通貨基金(IMF)と世界銀行(世銀)のことである。両者はともに米国が作ったブレトンウッズ体制の柱である。アジアでは、米日が主導したアジア開発銀行(ADB)がある。
しかしこれらの「昔の車」はいまや、新興大国や中小国などのアジアの国の期待に応えられなくなっているのである。
しかも実際、これらの公共財は真の「公共」ではない。世銀の総裁は米国人が就くことになっているし、内部のルールも彼らが決める。ADBの総裁には日本人が就き、米国の基準で運営される。
世銀は国際復興開発銀行とも呼ばれるが、実際にはアジアにおける大量のインフラ需要に見て見ぬふりをし、融資に対して高いハードルを設けている。ADB自身が試算しているように、アジアにおける2010~2020年の10年間のインフラ資金需要は8兆2000億ドル、年換算では8200億ドルが見込まれている。しかし、そのADBが2013年に融資したのはわずか210億ドルに過ぎない。つまりアジアのインフラ建設にほとんど役立っていないということだ。
こうした中、中国とその他の国が主導するAIIBがフォローの風に乗って動き出そうとしている。先は長い道のりであり、曲折も予想されている。しかし開放スタンスを堅持し、世界に向かって国際公共財を提供していけば、たとえ向かい風を受けようとも、前進を続けていくであろう。
(チャイナネット)
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