厚生労働省が発表した正社員の月別労働時間の統計データによると、その残業時間が毎週3時間(年間173時間)に達することが明らかになった。これは2年前の平均残業時間より7時間、20年前より36時間増加しており、1993年の統計開始以来の最高値となった。これには記録されていない「サービス残業」が含まれるため、実際の残業時間は調査結果よりも長めとなる。
職員の長時間労働の最大の原因は、終身雇用制だ。労働政策研究・研修機構の濱口桂一郞氏によると、米国では仕事が増えれば職員も増え、仕事が減れば職員も減るのが正常な現象であるが、日本企業の場合は職員の勤務時間を増減することで対応する。つまり最近の景気が良ければ、正社員の残業により人手不足の問題を解消することになる。
日本の企業文化では、遅く退勤した方が高い評価を得やすいと勘違いされがちだ。これも残業が増加する原因の一つだ。慶応義塾大学の山本勲教授の調査によると、残業を好む人の方が出世しやすいという。これは課長以上に昇進した職員を対象とする調査で、勤務時間を毎週10時間増やすと、翌年に課長に昇進する確率が3%上昇するという結果になった。山本教授は、「長い勤務時間は欧米では低効率とされるが、日本では肯定的な評価を得られる」と指摘した。
また日本企業はチームによって仕事に取り組むが、これも残業が増える原因の一つだ。山本教授は、「日本の職員の業務範囲は曖昧で、効率の高い人が足を引っ張られやすい」と述べた。西側諸国の職員は自分の仕事を終えれば帰宅できるが、日本の場合、効率の高い職員は自分の仕事を終えた後も、チームの別の仕事を処理しなければならない。そのせいで、退勤時間が遅くなるというのだ。
(チャイナネット)
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