日本メディアが先月29日、日本の安倍晋三首相が同日開催された衆議院予算委員会で、米国の歴史教科書の南京大虐殺の記載に「愕然とした」と発言したことを伝えた。
安倍首相を「愕然とさせた」のは米国の出版社マグロウヒル社が出版した教科書。南京大虐殺と慰安婦に関する記述があり、日本政府は大いに不満だとしている。日本政府は昨年12月に在米公館を通じて同社に話し合いを申し入れ、問題の個所を削除するよう求めたが、拒絶された。
南京大虐殺と慰安婦の歴史問題についてすでに定論があるにもかかわらず、安倍首相と日本政府が「愕然とした」ことに世界は愕然としている。米国の教科書は「中国人40万人が日本に殺害された」と記しており、この結論には歴史的な根拠があり、記述自体には何も愕然とするようなところはない。中国侵略日本軍南京大虐殺遭難同胞記念館の壁面には「遭難者300000」の文字があり、同館の朱成山館長は、「どのような数え方をしても、『30万』は下限に過ぎないことが明らかになる。実際には日本軍が南京で殺戮した人の数は30万人をはるかに上回る」と話す。日本の戦犯を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)や南京軍事法廷での認定数も、当時の慈善団体、日本軍、傀儡軍、個人の埋葬記録も、南京大虐殺の被害者数が30万人を上回ることを示している。
安倍政権は「愕然として」米国の出版社に修正を求めた。問題の教科書の執筆者の一人である米国の歴史学者ハーバート・ジーグラー教授は日本メディアの取材に答える中で、「安倍政権の動きは荒唐無稽だ」とし、日本政府が教科書に記載された被害者の人数が多すぎると問いただしていることについては、「私が出した『中国人40万人が日本に殺害された』との結論が誤りで、中国人30万人が日本に殺害されたことを証明できるなら、大虐殺は『よいこと』になるのだろうか」と述べた。ジーグラー教授は安倍首相が「愕然とした」ことに愕然としているとみられる。
別の観点から眺めると安倍首相の「愕然」はおかしなことではない。ここ数年来、日本の右翼勢力の一部南京大虐殺を否定しようと躍起になり、南京大虐殺は虚構であると声を張り上げていた。また一部の右翼勢力は被害者「30万人」という数字をめぐって大騒ぎしている。日本の右翼勢力は被害者の「30万人」という数字に意義を差し挟み、右翼思想で凝り固まった安倍首相が「40万人」という数字に「愕然」としたのも当然だといえる。安倍首相と右翼勢力は数字には非常に敏感だが、このことは彼らに歴史の深層をつきとめようとする真実追求の精神があることを示すわけではなく、本当の狙いはここを突破口として南京大虐殺そのものを否認することにある。